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大きな地震の発生時には、水道が止まり水が使えなくなるため生活に深刻な影響が出ます。
飲料水の確保や、排水管や下水道の破損の懸念によるトイレの使用制限など、日常生活に多くの支障が生じる可能性が高いのです。
水道の復旧には時間がかかることが多く、場合によっては数日から数週間 断水が続く可能性があります。
この記事では、地震で水道が止まる理由や復旧までの期間、断水時の対応策や備蓄のポイント について詳しく解説します。
必要な知識を持ち、水などの備蓄をすれば、いざという時にも冷静に行動できます。
災害時に困らないために、今できる準備と対処の知識を身につけましょう。
目次
地震が発生すると、水道・ガス・電気といったライフラインが使えなくなるかもしれません。
ここでは、なぜ地震で水道が止まるのかの理由を理解し、災害時の適切な備えへのきっかけにしましょう。
地震の発生時に水道が止まる主な理由は以下が考えられます。
地下に埋まっている水道管が地震の揺れによって、継ぎ目(接続部分)が外れたり、古い管が破裂したりして水漏れが起こり広範囲で給水が停止
建物の倒壊や傾きによって、宅内の水道管が破損し、適切に水が使えないケース
浄水場や送水ポンプの破損・停電などで、広範囲で給水が停止
地中深く埋まっている配水本管が損傷すると、復旧までに数週間から数か月かかるケースもあります。地震の際の水対策を日ごろから行い、災害時の混乱を減らしましょう。
地震の規模によって、水道管への影響は異なりますが、震度が高くなるほど、断水のリスクも高まります。
2024年1月の能登半島地震では、最大震度7を記録し、約14万戸で断水が発生しました。
家庭に水を送る送水管の被害だけでなく、水浄水場に水を送る導水管、浄水場の被害などもあります。
上水道だけでなく下水管も各地域で甚大な被害が起こりました。
消防庁、気象庁では震度別の具体的な被害は明確でないとしています。
過去の地震の例からみると、おおむね震度5弱で水道が止まる可能性が出てきます。
震度6弱では地域により断水になり、復旧に時間がかかる可能性が高くなります。
ただし、地震が起こった地域の地盤の固さ、上下水道の耐震化の進み具合によっても、被害状況は変わってくるのが実際のところです。
地震による水道の復旧には時間がかかることが多く、状況によっては長期間の断水が発生します。
近年の大地震後に水道復旧にかかった期間を表にまとめました。
日時 | 場所 | 復旧にかかった時間 |
---|---|---|
平成23年 (2011年) |
東日本大震災 | 257万戸が断水、1週間で約57%、約6か月半で復旧完了 |
平成28年 (2016年) |
熊本地震 | 45万戸が断水、1週間で約9割、約3か月半で復旧完了 |
令和6年 (2024年) |
能登半島地震 | 約14万戸が断水。 5か月で建物倒壊地域等を除いて、水道事業体が管理している水道施設の応急復旧が完了 |
下水道管は地中に埋設されているため、掘削が伴う復旧作業には時間と労力がかかり、完全復旧までには長い時間がかかります。
備蓄は長期的な断水を考えておく必要があります。
地震で水道が止まると、飲料水の確保や生活用水をどうするかが課題になります。
ここでは、地震後、最初に確認すべきことや水の確保方法について解説します。
被害を最小限に何をするかを抑えておきましょう。
地震発生後、水道が止まっているかの確認が必要です。
すべての蛇口を閉めた状態で水道メーターを確認し、針が動いている場合は漏水の可能性があります。
その際は元栓を閉め、水漏れの被害を防ぎましょう。
水が濁っている場合は、水道管内のサビが流れ出ている可能性があるため、飲用は避けます。
ただし、生活用水には使えます。
今後の断水に備えて、バケツなどに溜めておきましょう。
給湯器にサビが入ると故障の原因になるため注意が必要です。
下水道や排水管の破損で、逆流や階下への水漏れが考えられるため、安全が確認できるまで使わないのがルールです。
地震で水道が止まった場合、飲料水や生活用水を確保する必要があります。
日ごろから災害用に給水タンクを準備しておくと安心です。
自治体が設置する給水所や給水車から水を受け取れます。
給水情報は市町村の公式サイトや防災無線などで確認しましょう。
水は重いため、キャリーカートやリュックを準備し給水所から水を運びます。
車で給水に来るのを禁じている自治体が多いため、確認してルールを守りましょう。
1人あたり1日3リットルを目安に、最低3日分、可能なら1週間分の水を確保しましょう。
ペットボトルの水は賞味期限が切れてもすぐに廃棄しなくても大丈夫です。
まだしばらくは、飲料水になりますし、生活用水としても活用できます。
雨水や風呂の残り湯は、トイレが使えるようになったら、洗浄水に使えます。
地震で水道が止まると、飲み水だけでなく、手洗いやトイレの使用にも大きな影響が出ます。
断水時に少しでも日常に近い生活を送るためにも、以下の必需品を備えておきましょう。
必要なもの | 具体的なアイテムと概要 |
---|---|
水 | ・飲料水:ペットボトルで1人1日3Lを目安に家族の人数分を3日分 ・(参考)生活用水: 1人1日7Lが目安といわれている |
衛生用品 | ・ウェットティッシュ:手や体を拭く ・ドライシャンプー:水を使わずに頭皮の汚れを落とせる ・歯磨きシート:口腔ケアに |
食料や非常食 | ・アルファ米、缶詰、レトルト食品など:簡単に食べられるものを、甘いものもあるとホッとできる ・ラップ:食器にラップを敷くと洗い物を減らせる |
簡易トイレ | ・簡易トイレ、携帯トイレ:地震後はトイレを流せないため ・汚物処理袋:臭いが漏れないナイロン袋など、排泄物を家庭内で保管する必要があるため |
避難所には仮設トイレが設置されますが、水が流れないタイプが多く、使用人数が増えるとすぐにいっぱいになる可能性があります。
そのため、簡易トイレを多めに準備しておくと安心です(参考:1人1日5~7回として計算する)。
地震による断水を防ぐことは個人には難しいため、被害を最小限に抑えられるように、事前の準備が重要になります。
ここでは、水道管の老朽化対策や備蓄水の確保、災害時の支援について解説します。
公共の送水管や下水管は市町村が管理していますが、自宅の水道管は自分で管理する必要があります。
もし、地震で水道管が破損した場合、地域の水道業者には予約が殺到し、すぐに対応してもらえないでしょう。
自宅で漏水しているため水が使えないという事態を避けるためにも、普段からメンテナンスをしておきたいところです。
古い家屋では、水道管の老朽化が進んでいる可能性があります。
ひび割れやサビ、継ぎ手の劣化などがないか専門業者に点検を依頼し、耐震性の高い水道管への交換をしておくと安心といえるでしょう。
地震による断水に備え、家庭で十分な水を確保しておきましょう。
万が一の災害時に水の備蓄があると、慌てずに済みます。
備蓄をする量は、1人分が1日3Lで、最低3日分、可能なら1週間分です。
家族の人数分を一覧表にしました。
家族人数 | 3日分(2Lのペットボトル本数) | 1週間分(2Lのペットボトル本数) |
---|---|---|
1人 | 9L(5本) | 21L(11本) |
2人 | 18L(9本) | 42L(21本) |
3人 | 27L(14本) | 63L(32本) |
4人 | 36L(18本) | 84L(42本) |
5人 | 45L(23本) | 105L(53本) |
水はウォーターサーバーや水道水の保存も考えられます。
水道水を飲用に保管する場合は3日を目安に入れ替え、直射日光を避けて涼しい場所に保管しておきましょう。
生活用水は、給水タンクで水道水を分散して備蓄するという方法があります。
飲料水ほど神経質になる必要はありませんが、入れ替えておくと安心です。
以前は「地震対策に浴槽の水を溜めておく」とされていましたが、最近では推奨されないこともあります。
理由として、「地震の揺れで浴槽の水がバスルームを壊すケースがある」「生活用水にはなるが、飲料・食器洗い・洗濯には適さない」ことがあります。
水は命を守る資源です。
飲料水と生活用水をバランスよく備蓄し、管理することが重要です。
地震が起こってからパニックの中で、自治体の支援や給水所の場所を調べるのは困難かもしれません。
事前に把握しておくことが重要です。
自治体の防災マップを活用し、事前に自宅近くの避難所や給水拠点を確認しておきましょう。
市町村の防災サイトやアプリを活用し、最新の防災情報を確認しましょう。
事前の知識が、災害時の不安を軽減してくれるでしょう。
断水時は水道が使えないため、生活に工夫が必要です。
トイレや食事、衛生管理の知識を身に着け、被災後の環境でも、できるだけ快適に過ごせる準備と工夫を紹介します。
断水時はトイレが使えなくなるため、適切な対策をとることが重要です。
トイレに関する注意ポイントをまとめました。
排水管や下水管が損傷している可能性があります。
自治体の下水道情報と、集合住宅では管理組合の情報も確認し、排水が安全であることが確認できるまでは流さないのがポイントです
携帯トイレや簡易トイレは、凝固剤で排泄物を固めることができます。
ただし、臭い対策としては防臭袋や消臭剤を活用する必要があります。
大規模な震災時、自治体の支援が始まるまで3日~1週間かかることが一般的です。
水・食料・トイレの3つを抑えた備蓄で、支援が始まるまでの期間を乗り切りましょう。
断水時は水を使った炊事が難しくなるため、工夫が必要です。
ライフラインの復旧は ①電気 → ②水道 → ③ガス の順で進むことが多いため、それに合わせた器具も準備しておきましょう。
カセットコンロを活用すれば、湯を沸かし簡単な調理が可能です。
電気が復旧したら湯沸かしポットやIHコンロが利用できるようになります。
食料の備蓄方法には、災害時用の非常食と、日常的に食べながら備蓄を入れ替えるローリングストックという方法があります。
それぞれをバランスよく備蓄しますが、水道が止まった状態が長引くこともあります。
水の準備もしっかり行いましょう。
断水時の生活は不便になりますが、水の管理を適切に行い、無駄なく活用することが重要といえます。
飲料水と生活用水は分けて管理することがポイントです。
生活用水は ポリタンクに入れ、手洗いや清掃、トイレの洗浄用に利用します。
残念ながら、当初は洗濯に回す水はありません。
水道水は、飲用としては保存から3日以内に使い切るのが基本ですが、生活用水なら3日を過ぎても使用可能です。
用途に応じて、月に1回~数か月に1回 の頻度で入れ替えればさほど苦にならず、保管の継続ができるでしょう。
断水時に水を確保するためには、給水所や給水車の情報を把握することが大切です。
正確な情報を入手できる方法を知っておきましょう。
・
マンションの自治会や町内会には、細かい地域の情報が共有されることが多い。
独自の給水支援を行う場合もあるため、地域のネットワークを活用する。
災害時は情報が錯綜するため、複数の情報源を活用し、正確な情報を確認することが必要です。
地震により水道が止まった時に備えられるよう、地震時の水道の状況や復旧にかかる時間、水の備蓄や確保について解説しました。
備蓄プランをしっかり立て、地震後の初期を乗り切ることが大切です。
被災時の数日を乗り切るために、1人あたり1日3Lの飲料水と食料をまず3日分、余裕があれば1週間分準備しておきましょう。
そして、水道の復旧後には、自宅の水道管や排水管の修理も必要かもしれません。
修理は水道業者に依頼する必要があるため、緊急時に相談できる業者も決めておきたいものです。
まずは、今できる備えを行い、災害時に落ち着いて行動できるよう準備しておきましょう。