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胃のX線検査でバリウムを飲んだ後、トイレで困った経験はありませんか?
バリュウムを飲んだ後の便は、便器の水底に張り付いてしまいます。
水を何度流しても流れないため、途方に暮れることがあるかもしれません。
バリウム便が流れにくい理由と流れないときの対処法、また、会社や外出時はどうすればいいかの予防方法を解説します。
また、万が一バリウムが詰まりを引き起こした場合に、専門業者への相談方法も押さえておきたいポイントです。
検査を安心して受けられるよう、バリウムを飲んだ後のトイレ対策にぜひお役立てください。
目次
人間ドッグや健康診断などの胃X線検査で使われるバリウムは、重晶石を主成分とする粉末を水に溶かした白い液体です。
このバリウムはX線を吸収する特性があり、胃の状態を鮮明に映し出すために用いられます。
胃液では解けないため、体内で吸収されることはなく、無害です。
ただし、体内にあるバリウムでも、時間がたつと水分が失われ固くなってしまいます。
検査後は、早く排出することを考えましょう。
検査後には病院が出してくれる下剤を服用し、水を多めに摂取して早めに排出を促すことが賢い対策の一つです。
流れないためバリウムをトイレに放置すると、水が濁ることがあっても、自然に溶けて流れていくことはありません。
便器内にバリウムが見えないのに水が濁る場合は、トラップ部分や排水経路に張り付いている場合があります。
そして、そのバリウムにトイレットペーパーが付着して、詰まりを起こす可能性が出てくるのです。
トイレの水の中に、いつまでもバリウムが残っているのは気持ちのいいものではありません。
もし、バリウムが流れずに残ってしまったら、早急に掃除で取り除くことをおすすめします。
バリウム便がトイレで流れない理由は、大きく分けて3つあります。バリウムの特性を理解することで効果的な対策が可能です。
バリウムがトイレで流れにくい原因の一つは、固まりやすい性質にあります。
バリウムは時間がたつほど固くなります。
このため、トイレで排泄された時点ですでに固まっているバリウム便が便器や排水管内に付着し、流れにくくなってしまうのです。
バリウムを飲んだ後、排便が2~3日ない場合には、バリウムが腸内で固まり健康に影響を及ぼす可能性があるため、早めに医療機関への相談が必要です。
バリウムが流れないもう一つの原因は、粘着性の高さです。
バリウムはX線検査時に、胃の内壁に張り付きやすいように、増粘剤が入っているため、便器の表面に張り付きやすい特性を持っています。
さらに、最近主流の節水トイレは水の量が少なく、流れる水のパワーは持続しません。
このため、貼り付いたバリウム便を洗い流せず、便器内に残ってしまうことが多くなります。
バリウムを便器に固着させる原因は粘性だけではありません。
バリウムは水よりも約3.5倍 重いため、水の中では沈みます。
そして、水溶性ではないため水に溶けることもなく、そのまま便器の底に沈むのです。
粘性を持つバリウムが、その重さにより押し付けられて、強固に貼り付けられるわけです。
一旦、貼り付いてしまったバリウム便は、放置して溶けたり流れたりすることはありませんので、「はがす」や「こすり取る」などの物理的な力で除去しなくてはなりません。
トイレのバリウム便が流れない場合、適切に対処することで、バリウム便を除去できます。
ここでは、家庭でできる基本的な対処法や、効果的な掃除方法を4つご紹介します。
<掃除方法早見表>
使うもの | ポイント |
---|---|
ぬるま湯 | 50℃くらいのお湯を便器に注ぐ。何度もお湯を流す手間がかかる |
トイレブラシ | 物理的にこすり取る。ブラシにバリウムが付き、取りにくくなるケースも |
割りばし | 割りばしでつまみ上げ、流さずに廃棄。残った場合はこそげ取る作業が発生 |
酸性洗剤 | サンポールなどで緩めて流す。状況により数回繰り返す必要がある |
次に、各手順を紹介します。
できれば手を使いたくないという方向けの、対処方法です。
水溶性ではないバリウムですが、お湯(50℃程度)で緩めることが可能です。
ただし、熱湯や高すぎる温度のお湯を便器にかけてしまうと、その部分が膨張しヒビが入る可能性があります。
湯温には十分気を付けて、50℃程度のお湯をトイレに注ぎ、ふたをして10分ほど放置しましょう。
トイレに注いだお湯が濁ってきたら、バリウムが溶けています。お湯を注ぐことを何度か繰り返し(お湯を注ぐと、濁った水は流れていきます)、付着したバリウムが少なくなったらトイレブラシでこすり取り、水を流すと除去できるでしょう。
トイレブラシで取る場合は、ブラシを捨てることになるかもしれないことを覚悟して掃除を始めましょう。
トイレブラシでバリウム便をこすり取りながら水を流します。
ブラシでこすり、バリウムが浮き上がっている状態で素早く流してしまうのです。
バリウム便が硬い場合は、お湯(50度程度)で緩めてから、掃除に取り掛かるといいでしょう。
ブラシに付着した、バリウムが取れない場合は、便器の中で、お湯で洗うか廃棄を検討しましょう。
バリウム便が固まっている場合は、割りばしでこそげながら取り除くという方法があります。
この際、バリウム便は流さずに、ビニール袋などに入れて廃棄するのがおすすめです。
そのままの形で流して、排水路のどこかに再度固着するのを避けるためです。
ゴム手袋などを着け、割りばしでバリウム便をこそげ取り、トイレットペーパーと一緒にビニール袋に入れて、割りばしも入れて口を閉じて廃棄します。
バリウムが残っていたら、トイレブラシで掃除をして、水を流しましょう。
洗剤を使う場合はサンポールなどの酸性の洗剤を使いましょう。
酸性といえば、クエン酸を思い浮かべますが、バリウム対策で使う場合は、界面活性剤も入っている洗剤が有効です。
バリウムが付着した部分に洗剤をかけます。
水底の場合は水に洗剤を入れます。
そのまま20分程度放置し、ブラシでこすり取るか、50℃程度のお湯をバケツにいっぱい、勢いよく便器に注ぎ込みます。
この際、水撥ねには注意が必要です。
【注意!】アルカリ洗剤(パイプユニッシュ・トイレハイターなど)との併用しないこと。有害なガスが発生して危険です。
今から検査を受ける、今からトイレに行くという事前の段階であれば、トラブル予防ができます。
バリウムによるトイレトラブルを防ぐ方法をご紹介します。
<バリウムのトラブルを防ぐ事前策>
できること | ポイント |
---|---|
トイレットペーパーを活用 | 排便前に便器内に敷く。ペーパーが溶ける前に流すのがコツ |
下剤と水分を摂取 | 検査後に多めの水と一緒に飲む。排便中に水を流すのがコツ |
外出先には非常用トイレを | 失敗できない場所では、使い捨てできる非常用トイレを活用 |
今から、トイレに行く場合は、便器内にトイレットペーパーを敷いておくことをおすすめします。
トイレットペーパーがあることで、バリウム便の便器への直接の付着を防げます。
また、トイレットペーパーでくるまれたようになって流れるため、排水経路の途中で付着するのも防げるでしょう。
ただし、排便後は速やかに水を流すことを忘れないでください。
トイレットペーパーが溶けてしまうと付着する可能性があるためです。
また、大量のトイレットペーパーを敷くと、詰まりの原因になるため、量には気をつけて使うことをおすすめします。
健康診断後に渡される下剤は、できるだけ早めに服用することが大切です。
また、服用する際には、水分を多めに(500ml程度を目安)摂取することで便をやわらかくし、流れやすくする効果も期待できます。
通常、2~6時間後に便意があり排便となります(個人差がある)。
ただし、排便後に流さずに時間を置くと便器にバリウム便が貼り付きます。
排便の最中や直後に定期的に水を流すよう工夫しましょう。
トイレットペーパーを敷いておくのも有効な対策です。
検査後に、会社に戻らねばならない場合や、外出の予定がある場合は「使い捨てトイレ」を活用しましょう。
外出先で、バリウム便が流れないというトラブルが起こると、掃除をすることもできません。
非常用トイレを使用すれば、便器に流さず廃棄できるため、トイレの詰まりや流れない問題を確実に回避できます。
ただし、廃棄方法は自治体の規定に従う必要があるため、事前に確認し、臭いが漏れない工夫をしておきましょう。
バリウム便によるトイレの詰まりを防ぐために、いくつかの注意点を押さえておきましょう。
バリウム便が詰まったかもと思うときは、自然に流れるのを待つのは危険です。
放置すると、バリウムが硬化して便器や排水管に固着し、本格的なトイレ詰まりの原因となる可能性があります。
また、バリウム便が便器内にないのに、水が白く濁る場合などはトラップ内に付着している場合があります。
トイレタンクの水量は限られているため、何度も流してもバリウム便を押し流すパワーは望めません。
排水管用ブラシなどでバリウムをこすり取り、バケツで一気に大量の水を流し込むことでバリウムを流せる可能性がありますが、専門の業者への依頼を検討しても良いでしょう。
排水管ブラシを使う場合は、便器に傷を付けないように、注意しましょう。
バリウム便を取り除く際、お湯を使うことでやわらかくなって流れやすくなります。
しかし、熱湯や高すぎる温度のお湯を便器にかけてしまうとその部分が膨張し、便器にヒビが入る可能性があります。
トイレに注ぐ湯温は50℃程度であることを覚えておきましょう。
バリウム便を取り除く際に、便器を傷つけないよう注意が必要です。
スチール製のへらや硬いブラシを使用すると、便器に傷が付き、見た目が悪くなるだけでなく、汚れが溜まりやすい原因になります。
割りばしやトイレ用ブラシなど、便器にやさしい道具を使用して掃除をしましょう。
無理はせず、丁寧に作業することで、便器を保護しながらトラブルを解消できます。
適切な道具を選んで掃除に取り掛かりましょう。
バリウムが流れず、自力で対処できない場合は、専門業者に相談してみましょう。
ここでは、業者への依頼をする方が良い状況や、依頼時のポイントを解説します。
バリウム便が排水管の奥で詰まると、自力での解決は難しい場合があります。
便器内であれば掃除が可能ですが、排水口の先にある曲がったトイレのトラップ部分は、通常のブラシや割りばしでは届かず対処が困難だからです。
掃除に適さない道具を使うと、便器や排水管を損傷する恐れもあります。
こうした場合は、早めに専門業者に相談し、専用の機材を使った安全で迅速な対応を依頼するのが最善です。
早期にプロの技術で詰まり取りをすることが、トラブルを最小限に抑えるポイントになります。
バリウム便の掃除中に、「熱湯の使用」「便器を傷つける道具の」の2つには注意が必要です。
万が一、便器のヒビや異臭・水漏れが起こった場合は、早めに専門業者に相談し、修理を依頼しましょう。
配管が傷ついたり損傷したりといった場合、放置すると水漏れやさらなる詰まりの原因になることもあります。
早期の対応が、被害を最小限に抑えるポイントです。
普段、水道や排水のプロに助けを求めることはめったにないため、トラブル時にどこに相談すればよいか迷うかもしれません。
まず、自分の住所が業者のサービスエリア内であること、そして来てほしい時間に対応可能な業者を選ぶこ必要があります。
この2点を確認したうえで、信頼できる業者かどうかを見極めましょう。
自治体の水道局の指定業者か、口コミの評価や料金が明確に表示されているかなどを確認すると安心です。
さらに、依頼時の電話対応が丁寧かどうかも重要なポイントでしょう。
また、依頼時に、状況を正確に伝えることが解決をスムーズにします。
業者に問い合わせの電話をかける前に、状況をメモしたり写真を撮ったりして、説明しやすい準備をしておきましょう。
適切な業者を選び、正確な状況を伝えることが迅速な解決につながります。
バリウムがトイレで流れない原因は、その特性にあります。すでにトイレ内に張り付いたときも、今からトイレに行くときも、適切な対処法や予防策をとることで、トラブルに対応できます。
検査後は、下剤の服用や十分な水分を摂取し、トイレットペーパーを活用することがトラブル回避への近道です。
万が一、自力で解決できない事態になったら、早めに専門業者に相談することも大切です。
この記事を参考に、胃X線検査後の不安を解消し、快適な日常生活を送りましょう。