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お家で起きる水漏れには、吹き出すような大量の水漏れからポタポタと垂れるような少量の水漏れまでいろいろな症状があります。
もちろん大量の水漏れは怖いしどうして良いか分からず不安になってしまいますよね。
しかし、少量の水漏れであっても意外と気になって落ち着かないものです。
いろいろなケースがある水漏れですが、中でも一番怖いのは自分では気付かない所で起きている水漏れです。
原因箇所の分からない水漏れが起こったら、水道業者に漏水調査をしてもらうことになるでしょう。
業者が行う漏水調査にはいくつかの方法があり、その中で最新の漏水調査方法がトレーサーガス調査というものになります。今回はトレーサーガス調査について、どんなものでどのような特徴があるのか、調査費用はいくらなのかなどをご紹介して行きます。
目次
トレーサーガス調査は漏水調査方法の一つですが、まずはトレーサーガス調査も含め、水道業者が行なう漏水調査にはどのような調査方法があるのかを見て行きましょう。
主な漏水調査方法は以下になります。
漏水種類 | 調査内容 |
---|---|
目視調査 | 作業員が水漏れの起こりそうな各所を点検する |
テストポンプ調査 | 水道管に圧力をかけ漏水の有無を判別する |
音聴棒調査 | 音で漏水が起こってるか判別する |
トレーサーガス調査 | 水道管にガスを注入し地上に漏れてくる箇所を調査 |
このようにそれぞれ特徴があります。
それでは、トレーサーガス調査についてご説明します。
簡潔に言うと水道管にトレーサーガスを注入し、漏れ出たガスを検知機で検知することにより、埋設給水管の水漏れ箇所をおおよそ特定することができるという調査方法です。
詳しく説明すると、トレーサーガス調査は窒素と水素の混合ガス(トレーサーガス)を水道管内に注入して行います。
トレーサーガスは窒素95%、水素5%の成分で出来ていて、主成分である窒素は空気よりも軽く粒子も細かい為、水道管に亀裂や隙間がある場合はそこからガスが漏れ出します。
水素は土やコンクリートを通り抜ける性質を持っている為、窒素を水素と混ぜることにより漏れ出た混合ガスは土やコンクリートを通り抜け、地表に浸透して行きます。
専用の検知機は窒素を検知できる物で、センサーを地表にかざして捜索します。
センサーがトレーサーガスを検知すると反応が出る為、その真下の近くで漏水箇所があると特定できます。
このように水道管の漏水部位をおおよそ特定するのがトレーサーガス調査なのです。
従来のテストポンプ調査や音聴棒調査とは全く違う視点の漏水調査方法です。
水道業者は全国に何百何千とありますが2024年現在、トレーサーガス調査ができる業者はその内の数パーセントしかいません。
水道業者の中には「トレーサーガス、何それ?」と聞いた事すらないという業者も多いでしょう。
それだけまだ認知度の低い、新しい漏水調査方法ということです。
数は少ないものの水道業者でやっている業者はありますし、トレーサーガス調査専門の業者もあるようです。
漏水調査にはトレーサーガス調査以外にも、目視調査、テストポンプ調査、音聴棒調査などがあります。
水漏れ箇所がわからない漏水の場合は、いろいろな水漏れが考えられます。
例えば、トイレタンク内の水漏れ、台所・洗面所・浴室点検口内の水漏れ、天井・壁中・床下給水管・給湯管の水漏れ、外部埋設給水管の水漏れ等、これらの水漏れは、漏水調査をしないと水漏れを特定できないケースが多いです。
それでは、どんな時にトレーサーガス調査が有効なのかを、他の漏水調査との比較やトレーサーガスの安全性なども見て行きましょう。
まずはトレーサーガス調査以外の目視調査、テストポンプ調査、音聴棒調査について特徴をご説明いたします。
目視調査は、普段の生活では目にしないトイレタンク内や各所の点検口内などを確認します。
宅内の水漏れ箇所発見に効果的です。
テストポンプ調査は専用の機器を給水管や給湯管に直接接続し、水圧をかけて調査します。
圧力計が付いていて、水圧をかけた後に圧力計の数値が下がるようであれば水漏れしているということが判明します。
給水管か給湯管、いずれかの水漏れを特定できますが、水漏れしてる配管の箇所までは特定できません。
音聴棒調査は水道管に音聴棒を当てて音を聴き、聞こえてくる音によって水漏れしているかを判断します。
音の聞こえ方によって近い場所か遠い場所かが判断でき、給水管、給湯管の水漏れ有無、及び大まかな漏水箇所の推測ができます。
ただし、環境により調査の精度には差が出やすく、騒音がする場所での調査には向いていません。
それぞれ水漏れ原因や環境によっては向き不向きがあります。
次に、トレーサーガス調査の良い点をご紹介しますので以下をご覧ください。
水道管にトレーサーガスを注入し、水道管の破損部から漏れ出て地表に浸透したガスを検知するので、地面を掘り起こすことなく漏水場所を特定できる可能性が高い。
音聴棒調査や漏水探知機調査の様に周囲の騒音や音がうるさいと調査できないということは無く、環境音に左右されずに調査ができる。
埋設部を掘削する必要が無いので、その分原因の特定が早い。
埋設部を掘削する必要が無く、そのままの状態で原因を特定できる。
一般の住宅なら原因、及び場所を特定できないことが少ない。
土でもコンクリートでもアスファルトでもタイルでも、どの地面に対しても効果がある。
土中やコンクリート下などにある埋設給水管の漏水場所が特定できると、無駄なくピンポイントで水道管の一部修理が可能になります。
地中の給水管で水漏れしていることが判明しても、具体的に漏水箇所を特定できない場合は、水漏れ箇所を見つけるまで地面を壊したり掘ったりしなければなりません。
運良くすぐに見つかれば良いですが、運が悪いとコンクリートを大々的に壊し、敷地内にいくつも大きな穴を作ることになります。
それでも見つからない場合は家の下の地中かもしれないので、そうなると家の床を剥がして調査・・・このようなやり方で場所がわからない漏水箇所を見つける調査をすると家へのダメージが大きく、掘削や修復の費用を考えると水漏れ箇所の特定だけで何十万という費用がかかってしまいます。
正直、これは現実的でありません。
このようなケースは部分修繕が出来ない為、全ての給水管を新しく引き直すという改善方法になることが良くあります。
このような時にトレーサーガス調査であれば部分修繕が可能になります。
なので、どんな時にトレーサーガス調査が有効なのかと言うと、土中やコンクリート下などの外部に埋設してある給水管水漏れの漏水箇所を特定したい時です。
基本的にトレーサーガス調査が出来ない場所はありません。
特に一般住宅であればどこでも使えて原因が特定できるでしょう。
だからと言って全ての漏水調査でトレーサーガス調査が最適という訳ではありません。段階によってはトレーサーガス調査よりも最適な調査方法があります。
では、安全性はどうなのでしょう?ガスを使うと聞けば誰でも不安を覚えるものです。
しかし、トレーサーガスは安全性にも優れたものなのです。
トレーサーガスは窒素95%、水素5%の成分で出来ています。
主成分の窒素は大気中にも含まれているものなので人体に害はありません。
水素は引火しやすい元素ですが、トレーサーガスは95%が窒素で水素の割合も少ない為、不燃性で安全です。
火気のある場所でも使用できます。
トレーサーガスは家で使用しているガスとは違い、窒素と水素の混合ガスなので人体はもちろん、ペットにも環境にも無害なガスです。
基本的に給水管に接続してガスを注入していき、探知機を持ってガスが漏れてくる箇所を探すのがおおまかな流れとなります。
それでは、トレーサーガス調査はどのように行われるかを見て行きましょう。
トレーサーガスによる漏水調査の流れは以下の通りです。
元栓を閉めて水を遮断します。そして外水栓を開いて止水出来ているかを確認します。
外水栓を開くと注入したガスに押されて残り水が出て来ます。
少し経つとガスだけ出て、ほとんど水が出なくなるので外水栓のハンドルを閉めて、給水管内にガスを充満させます。
検知器のセンサーを地表にかざして行きます。
トレーサーガスを検知しなければ検知器の数値は「0.0PPM」のままです。
ガスを検知するとピッピッという音が鳴ります。
検知の数値が大きくなると音の間隔も短くなり、ピピピという音に変わります。
一番数値の高い地点を特定します。
その下に給水管の漏水箇所があります。
以上がトレーサーガスの漏水調査の流れとなります。
尚、調査時間は敷地の広さや漏水箇所の特定が早いか遅いかで変わりますが、おおよそ30分から45分程度です。
トレーサーガス調査の費用について見て行きましょう。
他の調査方法に比べると調査費が高く感じるかもしれませんが、ピンポイントで漏水箇所が発見できて部分的な修繕で直せる程度の状況であれば被害を最小限にする事ができるでしょう。
漏水調査の作業 | 作業費用相場 |
---|---|
トレーサーガス | 30,000~50,000円 |
テストポンプ | 20,000~30,000円 |
目視調査(簡易開口等) | 5,000円~10,000円 |
音聴棒 | 10,000~20,000円 |
床・壁・天井の点検口設置 | 20,000~40,000円 |
掘削(地面が土の場合) | 10,000~15,000円 |
※掘削する範囲によって変わってきます。
また地面がコンクリートだと斫り作業が必要となり費用が更にプラスになってしまうのが一般的でしょう。
トレーサーガス調査で考えられるデメリットは主に以下の4点です。
他の漏水調査費用よりも高いという点は一つデメリットとして挙げられます。
他の漏水調査の費用相場が30,000円以下なのに対して、トレーサーガス調査の費用相場は30,000円から50,000円と高めになっています。
これは、「なぜ漏水は起きたのか」という点がポイントになります。
本来、埋設部の給水管は外的な力が加わらない為、漏水の原因は寿命のケースが多いです。
給水管の耐久性が限界を迎えて水漏れした場合は、トレーサーガス調査で部分修繕をしても、近い内に別の場所で水漏れを起こす可能性があります。
1回の調査と部分修理で10万弱かかるものを複数回行なえば20万~30万となりますし、近い未来で必ず給水管の全体の引き直しが必要になります。
これが3年から5年位の間に起きて全体を引き直した場合は部分修繕でかかった費用が無駄になり、最初から引き直しをしておけば良かったということになってしまいます。
ただし、地震や近隣の道路工事など、外的な力が加わり漏水が起きた場合はこの限りではありません。
現状、トレーサーガス調査を取り入れている業者が少ない為、依頼をしてもすぐに来てもらえなかったり、対応している業者を探すのが一苦労かもしれません。
宅内で漏れているのか宅外で漏れているのかも分からない段階でトレーサーガス調査を行うのは勿体ないです。
何故かと言うと宅内の水漏れか宅外の水漏れかは目視調査で判断出来るケースが多いからです。
なので、何処から漏れているのか全く分からない時は、目視調査から行うのが効果的ですので、新しい漏水調査方法だからと言ってどんな漏水であってもトレーサーガス調査が良いという訳ではないのです。
このようなデメリットがあることも知っておくと、無駄なく損をすることなく効果的な漏水調査を見つけ出すことができます。
トレーサーガス調査は、トレーサーガスを水道管内に注入し、漏水箇所から漏れ出たガスを地表のセンサーで感知して漏水箇所を特定するという調査方法です。
従来の漏水調査とは全く違う視点なのが面白い所です。
ガスを使用すると聞くと安全面が大丈夫なのか不安になりますが、トレーサーガスは自然にある窒素と水素の混合ガスなので、人体にも環境にも影響はなく無害です。
トレーサーガス調査の依頼を検討する時はデメリットも考慮した上で、トレーサーガス調査が一番効果的であると判断できた時に依頼するようにしましょう。