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一概にユニットバスでの水漏れと言っても、いろいろな要因があってその一つ一つの修理方法を覚えるなんて普段水漏れの修理を行なってない皆さんには難しい事ですよね。
しかし、ユニットバスの中でよく起きる水漏れとその修理方法といったようにポイントを絞っていけば皆さんでも少しは覚えやすいのではないでしょうか。
今回はユニットバスの中で起きる水漏れの内、業者が良く遭遇する4つの水漏れ原因とその修理方法についてご紹介いたします。
目次
まずは、そもそもどのようなお風呂がユニットバスなのか、ユニットバスにはどのようなメリットやデメリットがあるのかを見ていきましょう。
ユニットバスとは、浴槽、洗い場、洗面台などを一体化して、あらかじめ工場で作られたもののことを言います。
お風呂を作る時は、工場で作られた浴槽、洗い場、壁、天井などのパーツを現場で組み立てるだけでよい為、工期や費用が従来の工事よりも抑えられるのが特徴です。
浴室は大きく分けて2つの種類があります。
ユニットバスは浴槽、洗い場、洗面台などが一体化している浴室で、パーツは全て規格製品となります。
一方、在来工法は現場で壁や床などを作っていき、モルタルやタイルで仕上げる工法のお風呂です。
一昔前の住宅には多くあったタイプですが、最近でもこだわりのあるお風呂を作る場合などに用いられています。
実際は明確な差がなく、両方共、事前に工場で作られた浴槽や壁などのパーツを現場で組み立てて作るお風呂のことを言います。
ただ、ユニットバスも時代と共に進化をしていて、ジェットバスやミストサウナなどの装置が備え付けられているものも増えてきました。なので、システムバスという名称は従来のものとの差別化を図る為、グレードの高い、多機能なものに使用されているようです。
ユニットバスには3つのタイプがありますので、タイプごとに特徴をご紹介します。
ユニットバスのタイプ | 特徴 |
---|---|
1点ユニットバス | 浴室が独立していて、浴槽と洗い場だけで構成されています。 |
2点ユニットバス | 浴室の中に、浴槽と洗面がセットで構成されています。 |
3点ユニットバス | 浴室の中に、浴槽と洗面とトイレがセットで構成されています。 |
1点ユニットバスは一戸建ての家や分譲マンションに設置されていることが多くあります。
呼び名も「1点ユニットバス」と言われることはほとんどなく、普通に「ユニットバス」と呼ばれています。
2点ユニットバス、3点ユニットバスは賃貸マンションやアパートに設置されていることが多くあります。
特に3点ユニットバスは、狭い敷地を有効活用するために用いられていて、一人暮らしのお部屋やビジネスホテルなどに設置されていることが多いようです。
それでは次に、ユニットバスのメリットとデメリットを見ていきましょう。
ユニットバスは浴室スペースに対して二重構造になっていて、壁や床がモルタルに接していないので熱が逃げにくい。
在来工法と比べると既製品のパーツを組み立てるだけで良い為、工期が短く済み、費用も抑えられる。ユニットバスの場合、一般的な工期は3日~5日位だが、在来工法の場合は10日前後かかる。在来工法は工期がかかる分、費用も高めになっている。
ユニットバスは汚れにくく防水性の高い素材が使われている為、タイルや木材が使われる在来工法のお風呂と比べると掃除が楽で衛生面も優れている。
集合住宅のユニットバスには基本的に窓がない事が多い。その為、除湿には換気扇を使うしかないが、それでも湿気がこもりやすい。特に3点ユニットバスはシャワーカーテンにカビが発生しやすい。
3点ユニットバスに限った事ではあるが、浴槽とトイレが同じスペースにある為、同時に使うことができない。一人暮らし用として設置されている為、2人以上の居住には向むかない。
これも3点ユニットバスが代表的ではあるが、浴室内に洗面台とトイレが設置されている為、物理的に狭くなってしまう。また、身体は浴槽内で洗うしかなく、身体を洗った後すぐに湯船に浸かることが出来ない。
ユニットバスはどういうものなのか、その特徴について紹介してきましたが、次項からはユニットバスでよく起きる水漏れ、またその原因と修理方法についてご紹介していきます。
ユニットバス内で起きる水漏れの原因は多岐にわたります。
今回は、業者が訪問した時によく遭遇する、代表的な水漏れの症状と原因を4つ紹介していきます。
蛇口の水漏れで一番多いのが、スパウトの先端からポタポタと漏れる水漏れです。
ちなみにスパウトとは水の出てくる柄の部分です。
また、ユニットバスのシャワー蛇口の場合はスパウトの先端からだけでなく、シャワーの先端からもポタポタと水漏れすることがありますが、どちらも原因は同じな事が多いでしょう。
ユニットバスのシャワー蛇口の水漏れの原因を見ていきましょう。
スパウト、及びシャワー先端からの水漏れの多くはハンドル下にある「コマパッキン(正式名称ケレップ)」の劣化が原因です。
コマパッキンは独楽のような形をしたゴムと金属から出来ている部品です(一部には金属ではない物もあります)
このゴムの部分が固くなって柔軟性が無くなることや、溶けて体積が小さくなることによってきちんと栓がしきれず、先端からの水漏れが発生します。
スパウト、及びシャワー先端からの水漏れは、レバーハンドルに接続している「開閉ユニット」の劣化が原因です。
開閉ユニットは水の出し止め、シャワーとスパウトの切り替えを行う部品です。
この開閉ユニットが正常に作動しなくなると先端からの水漏れが発生します。
洗面所排水管からの水漏れも良く起こる水漏れです。
ただ、ユニットバス内という環境にある為、排水管からの水漏れが少量では気付かないことも多いようです。
また水漏れが少量の場合は、排水管の外側に水が出てもユニットバス内なので被害がないという側面もあります。
洗面所排水管からの水漏れで一番多い原因は「トラップパッキン」の劣化が原因です。
トラップとは洗面ボウル下の排水管がU字になっている部分のことを指し、下水臭や害虫が上がってこないようにするために取り付けられているものです。
そのトラップの前後に付いている接続パッキンのことをトラップパッキンといい、劣化(破損や硬化)によって水漏れが起こります。
では、どのような症状の時に業者を呼ぶのか、それは大量に水漏れした場合です。
大量の水漏れにはトラップ部が外れて水が漏れるという症状も含まれます。
トラップパッキンはトラップ部を排水管に固定する役割もある為、トラップパッキンが劣化すると外れやすくなります。
ユニットバスの洗面排水管にはSトラップとPトラップの2種類があります。
Sトラップは排水管がアルファベットのSのような形状をしていることから名付けられ、床面の排水口に排水します。
一方、PトラップはPのような形状をしていることから名付けられ、壁面の排水口に排水します。
ちなみにユニットバス内の洗面排水管は口経32mmの排水管が一番多く使用されています。
3点ユニットバスのトイレタンクに繋がるフレキ管からの水漏れも良く起きる水漏れです。フレキとはフレキシブルのことを指しています。
フレキシブルとは「物が曲げやすい、柔軟性のあるさま、しなやかなさま」との意味も持っています。
水道で使用されるフレキ管は自由に曲げることのできる管である為、その名称が付けられています。
フレキ管からの水漏れで一番多い原因は「給水パッキン」の劣化が原因です。
給水パッキンはフレキ管の前後に付いている接続パッキンのことで、劣化(破損や硬化)によって水漏れが起こります。
タンクへの給水管にはフレキ管の他にもなまし管という接続管もあり、なまし管は工場での製造段階で管を曲げて成形しますが、一度成形されると曲げることはできません。
これがフレキ管との大きな違いです。
また、ナットが引っかかるようにツバが出ていますが、この部分は薄く、経年により破損しやすい箇所となっています。
なお、なまし管は比較的に古めの住宅で使用されている事が多いでしょう。
戸建てでユニットバスが2階にあったり、集合住宅の2階以上の階に住んでいたりして下の部屋に水漏れがする、これは重大な水漏れですよね。
確かに床下にある給水管や給湯管からの水漏れであれば、大変な作業になることもあります。
しかし、よくある階下漏水の原因は意外なところからの水漏れの場合もあります。
ユニットバスにおける下の部屋への水漏れで多い原因は「点検口パッキン」の劣化が原因です。
ユニットバスでは浴室壁面や浴槽壁面に点検口の付いたタイプがあり、点検口の形状はシャンプーボトルなどがおける棚のようになっていることが多くあります。
この点検口は、水栓の交換作業などを行えるように取り付けられています。
点検口はネジで固定されていて、淵沿いに付いているパッキンで密閉をしています。
しかし、パッキンが劣化して剥がれたり切れたりすると、その隙間から水が浸入します。
侵入した水はユニットバスの床下に溜まり、溜まった水が最終的には下の部屋まで行ってしまうのです。
最初に、修理をする上で必要な工具をご紹介します。
ドライバー1つとってみても、いろいろなドライバーがあります。水道修理に向いている物からそうでない物まで様々です。
まずはご自宅にある工具を確認して修理に使えるものがあるか確認してみましょう。
それでは修理の手順を見ていきましょう。
コマパッキンの交換修理方法と開閉ユニットの交換修理方法をご紹介します。
止水栓を閉めた後、止水できてるかの確認と水道管内の残り水を出すためにハンドルを回しましょう
マイナスドライバー等で引っかけて取り外す
ネジがなめてしまわない(ネジ穴が潰れない)ように注意する
蛇口のハンドルが固着して外れにくい場合は、ハンドル部を工具で軽く叩くと外れやすい
もしカバーナットが六角形ではなく、円形で外周がギザギザになっている物の場合はウォーターポンププライヤーで外します
スピンドルはハンドルを被せて回すと外しやすいです
水栓内のコマパッキンをラジオペンチで取り出す。コマパッキンがスピンドルに固着している場合は、ウォーターポンププライヤーで引っ張って外す
この時に、カバーナットは締めすぎないように気をつけましょう。
締めすぎるとハンドルが固くなってしまいます。
止水栓はゆっくりと開けて動作確認を行って、水漏れが直ってるか確認しましょう。
2ハンドルシャワー水栓はコマパッキンが水とお湯の2ヶ所にあるので、水漏れしているのが片側だけでも両方交換するようにしましょう(水漏れしていない方も同じ年月使用しているので、そのままにしていると近いうちに水漏れしてくる可能性が高い為、このタイミングで交換するのがベストです)
偏心管の止水栓を閉める。止水栓を閉めた後、止水確認と水道管内の残り水を出すためにレバーハンドルを下に動かしましょう
マイナスドライバーやカッターの先端等で引っかけて取り外す
ネジがなめてしまわないように注意する
固着して外れにくい場合は、レバーハンドル部を工具で軽く叩くと外れやすい
インデックスは「矢印やライン」が表示されている金属の輪で、切れ目が入っているので少し広げて外す
手で回らないようであればウォーターポンププライヤーで外す
スペーサーは白い部品であり、マイナスドライバーを差し込んで浮かせて取り外す
ウォーターポンププライヤーで軸の部分をつまみ、引っ張り出す
開閉ユニットの凹部とスペーサーの凸部を合わせて組み立てる
組み立てた開閉ユニット、スペーサーの凸部を本体の切り欠き部に合わせて取り付ける
固定ナットは手で締め込む。工具かかりがある場合はウォーターポンププライヤー締め込む
取り付けたらラインを合わせる
飛び出ている開閉ユニット軸のカット部を上向きにしてレバーハンドルを差し込み、ビス固定、カバーキャップ取り付けを行う
止水栓はゆっくりと開け、動作確認を行って水漏れが無くなれば修理完了です。
プラスドライバーでネジを外す時に、一番起きてほしくないのがネジ穴をなめてしまうことです。
ネジ穴をなめるとは引っ掛かりの部分が欠損してしまうことです。
こうならない為のポイントはネジ穴にプラスドライバーを差し込んだら、押しながら回すということです。
ネジ穴をなめてしまう場合、ネジが固着して固くなっているのはもちろんのこと、ネジ穴への差し込みが浅い時によく起きます。
そうならない為にも、ネジ穴に差し込んだら押しながら回すということを意識して作業を行うと、ネジ穴をなめてしまうリスクが大きく減ります。
トラップパッキンの交換修理方法をご紹介します。
ナットは手で外す。
固い場合はウォーターポンププライヤーを使用するが、ナットが樹脂製の為、表面を傷つけないように注意する
パッキンとナットを外した時に排水管の接続部が汚れているようであれば、タオルできれいに拭き取る
新しいトラップパッキンを排水管に、ナット→パッキンの順で取り付ける。
パッキンの向きやねじれに注意をする
取り付けもナットは手締めで行う。
トラップ部は排水管への差し込みが浅いと外れやすい為、深めに差し込む
トラップパッキン交換作業後、水を流して確認し、漏れが無くなれば修理完了です。
給水パッキンの交換修理とフレキ管の交換修理方法をご紹介します。
止水栓を閉めた後、止水確認と水道管内の残り水を出すためにレバーでトイレの水を流す
レバーで水道管の水抜きをしてもフレキ管内に水が残っているので、外した時にまとまった水が出てくるが慌てない
古い給水パッキンを外した時にフレキ管の両端、ボールタップ、止水栓の接続部にパッキンカスが付いているようであれば、タオルでキレイに拭き取る
取り付け時にパッキンがナットのネジに咬まないよう注意する(パッキンがズレていると咬んでしまう恐れがある)
ナットを締め込む時にボールタップの向きを変えてしまわないように注意する(ボールタップのネジ部に目印としてテープを貼ると向きが変わっていないかが確認出来る。
ただし、テープはフレキ管のナット触れない所に付ける)
止水栓はゆっくりと開ける
フレキ管は既存のフレキ管と同じ位の長さの物を準備する。
新しいフレキ管を手で曲げ、ボールタップ接続部、止水栓接続部が斜めにならないように形成する。
また、給水パッキンも必ず新しい物を取り付ける。
その他の注意点は、給水パッキン交換の4)と同じ
給水パッキン、もしくはフレキ管交換作業後、水漏れが無くなれば修理完了です。
トイレの水を流して動作確認をすることも忘れずに行いましょう(エア抜き、及びボールタップの向きが変わっていないかの確認)
点検口のパッキンは点検板裏か点検口の周りに接着して付いていて、キレイに取り外すことが出来ない為、コーキングでの修理方法をご紹介します。
ちなみにコーキングとは、固まるとシリコンゴムになる防水性に優れた補修材です。
ネジを無くさないように注意する
特に接続部付近をしっかり拭く。
汚れている場合はタオルできれいに拭き取る。
固まる前のコーキング材は水分に弱く、水に溶けてしまうので注意。
固定ネジをしっかり締める
マスキングテープはコーキング処理をきれいに仕上げる為に効果的で、点検板と壁面設置部の内側と外側にテープを貼っていく。
マスキングテープの間にコーキングを塗布していく。
使い捨てのスプーンなどを使ってコーキングの表面を整えつつ、余分なコーキングを取り除く。
また、コーキングは浴槽や床に付かないように注意する(必要な場合は養生して行う)
5)の工程が終わったらすぐにマスキングテープを取り外す。
コーキングが固まった後にマスキングテープを取るとコーキングごと取れてしまう危険性があるので注意。
コーキングは固まるまでに時間がかかる為、固まる前に触ったり水がかかったりすると変形してしまうので注意。
最低12時間は接触しないようにし、可能であれば24時間空けるとより安心。
今回、ユニットバスを水漏れについて紹介してきましたので、ユニットバスにしかない機能を一つご紹介します。
それがドアフラップ排水溝です。
これは、ユニットバスで洗い場と脱衣スペースがフラットになっている、段差のないタイプの1点ユニットバスに設置されていることが多く、洗い場と脱衣スペースに段差が無いので、洗い場の水が脱衣スペースに行かないようにする為に設置されています。
ドアフラップはドア下に付いている水をせき止める為の板で、せき止めた水を流すのがドア排水溝です。
ドア排水溝は小さな穴ですが、ドア下の排水管繋がっていて、排水された水は床下排水管に流れて行きます。
ちなみにドア排水溝が詰まってしまった場合は、針金などの細い棒状の物を差し込んで汚れをほぐし、シャワーやホースで水を流すと詰まりを除去出来ます。
よく起きる水漏れの修理方法を紹介してきました。
今回、紹介した水漏れが自分の家で起きた場合には、手順に沿って修理をしてみてください。
ただし、賃貸の部屋にお住まいの方の場合は、まず管理会社や大家さんに連絡をするようにしましょう。
賃貸でも長年住んでいると自分の持ち家のような錯覚を起こしやすいのでご注意ください。特にコーキングの塗布は絶対に無許可でやらないようにしましょう。
代表的な水漏れの修理方法を紹介しましたが、実際に水漏れが発生した場合、工具・部品がない、作業の自信がないなどの理由で水道業者に依頼する方も多いのではないでしょうか。
業者が今回紹介した水漏れに良く遭遇するということは、その症状の依頼自体が多いということです。
それでは今回紹介した修理内容を、業者に依頼した場合はどの位の料金になるのか、概算の料金目安を見ていきましょう。
ユニットバス内の水漏れ修理 | 概算の修理費用の目安 |
---|---|
2ハンドル混合水栓コマパッキン交換 | 4,000円~ |
サーモスタット水栓開閉ユニット交換 | 8,000円~ |
洗面排水管トラップパッキン交換 | 4,000円~ |
トイレ給水パッキン交換 | 4,000円~ |
トイレのフレキ管交換 | 6,000円~ |
浴室点検口コーキング処理 | 8,000円~ |
このように、業者に依頼をする修理の中でも、パッキンの交換などは比較的安価で済むことが多いようです。
業者を呼ぶ際の参考にしてみてくださいね。
※しかし、ユニットバス設備の状況や水漏れの原因によっては、作業内容や修理費用が変わってくる場合があるので必ず事前に見積書を出してもらい良く説明を受けてから修理を依頼するようにしましょう。
今回、ユニットバスの特徴や種類、そしてユニットバス内で業者が良く遭遇する水漏れ4つを紹介してきました。
よく起きる水漏れはパッキンの劣化が多く、お客様自身での修理ができる場合があります。
自分自身で修理する場合の修理方法や注意点、また、業者を呼んだ場合の料金目安などもご紹介しましたのでぜひ参考にしてみてください。
しかし、ユニットバス内で起こる水漏れの原因によってはご自身で修理するのが難しいケースもあるので、修理が難しい場合や原因が分からない水漏れが起こった際は水道業者へお気軽にご相談ください。