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皆さんは配管のピンホールという言葉を聞いた事がありますか?長年使っている給湯配管に小さい穴が出来て水漏れする事があります。
今回は配管のピンホールという症状について何故起こるのか?補修に必要な道具や補修方法等について説明しようと思います。
ご家庭で配管のピンホールが起きた時の参考になると思いますのでぜひ最後までご覧ください。
目次
配管で起こる「ピンホール」は直訳すると「針の穴」です。
読んで字の如くですが配管のピンホールとは「配管に針で刺したような穴が空いて水が噴き出すこと」を言います。
ではピンホールはどんな時にどんな配管で起きるのかを見て行きましょう。
配管で起きる水漏れの主だった症状は配管断裂・配管破損(破裂)・配管亀裂・配管ピンホールの4種類です。
配管の水漏れ症状 | 状態 |
---|---|
配管断裂 | 配管が完全に切断している |
配管破損(破裂) | 配管が一部欠けている、配管の一部が裂けている |
配管亀裂 | 配管に亀裂が入っている |
配管ピンホール | 配管に小さな穴が空いている |
このような症状が起きる原因として一番多いのが「経年劣化」で全てに当てはまります。
しかし他の要因として「配管断裂・配管破損(破裂)・配管亀裂」の3つと「配管ピンホール」とでは決定的に違うものがあり、それは「衝撃」が加わったことによって起きるかどうかという点です。
配管に強い衝撃が加わると断裂・破損・亀裂という症状は起きますがピンホールは起きません。
ピンホールという症状は基本的に経年劣化でのみ起こると考えて良いでしょう。
家周りの配管と言っても給水管や給湯管、排水管などがあり更に素材に至っては塩化ビニール管・鉄管・ポリブデン管・銅管等々の種類もありますね。
ではピンホールは全ての配管で起きるのかと言うと答えはNOです。
ピンホールが起きる配管は主に給湯管で使われる銅管でしか起きない現象です。
ちなみに銅管の耐用年数は約20~25年ぐらいでしょうか。
給湯管の銅管でのみピンホールが起きるということを解説しましたがそれではなぜ銅管ではピンホールが起きるのでしょうか。
ピンホールが起きる仕組みやピンホールが起きた時の症状と応急処置のやり方などを見て行きましょう。
銅管にピンホールが起こる原因として考えられているのは大きく分けると3つあります。
一つ目は緑青(ろくしょう)が原因で起きるピンホールです。
緑青とは青錆のことで緑青が発生すると銅管の表面を覆っている保護皮膜を破壊してしまいます。
二つ目は静電気が原因で起きるピンホールです。
本来、純粋な水は電気をほとんど通さない絶縁体ですが電気イオンなどの不純物が含まれる場合に電気絶縁性が変わります。
配管内を高速で流れた摩擦によって発生した静電気が保護皮膜と銅そのものに小さな穴を開けて水漏れが起こります。
三つ目は気泡が原因で起きるピンホールです。
銅管内は高温で高速の水流が発生してますが水流の乱れによって発生した気泡が継手部(90度に曲がった継手)の管内壁面に衝突して保護皮膜を破壊し気泡の衝突が断続的に続くと小さな穴を開けます。
基本的にこの内のいずれかまたは複合的に発生した場合にピンホールが起きます。
仕組みを聞いても「銅管は金属なのでそんなに簡単に穴が空くの?」と思う方がいるかも知れません。
もう一つポイントを挙げるとすれば「銅管は薄い」ということです。
今ある様々な配管の中でも一番薄い配管が銅管です。
銅管が薄い理由としては加工のしやすさ・軽量化・材料費の削減等が考えられます。
この薄い管部に孔食・電食・潰食等が起きると穴が空いてしまうのです。
銅管が剥き出しになった状態でピンホールが起きれば水鉄砲の様に水が飛び出してきます。
しかし基本的には銅管の周りに保護材が付いていますし、屋外に設置されている給湯管の場合は配管を覆うように保温材も取り付けられています。
なのでピンホールによる水漏れが起きても水鉄砲の様に水が飛び出ない事も多くあります。
それでは銅管でピンホールが起きた時によく起きる症状を4つご紹介いたします。
・外部配管でピンホールの水漏れが起きている場合に水が垂れて来ている場所で水漏れが起きているとは限りません。
水漏れが別の所から伝って流れて来て継手部分から漏れ出すということも良くあります。
漏れ出している場所が配管の水漏れ箇所と早とちりしない様に気を付けましょう。
・壁中を通っている銅管は外的な干渉を受けないので保護材や保温材等が無く剥き出しで設置されていることが良くあります。
銅管のピンホールが起きると「シャー」と言う音がしますので壁の中から音がしたら高確率で銅管のピンホールでしょう。
・壁紙がふやけている場合「ピンホールで噴き出した水が内壁に当たってふやけた」と言う可能性があります。
ピンホールが原因で壁紙がふやけている時も漏水音がしていることも多いです。
・天井裏を通っている配管でピンホールが起きると当然天井から水が漏れてきます。
ただし上階の壁中の銅管でピンホールが起きていて吹き出した水が底に溜まり階下に漏れてくるケースもあります。
給湯管のピンホールが原因の水漏れだった場合は天井からずっと漏れ続けますので天井からの水漏れが常に起こってない時はピンホールの可能性は低いです。
・床下を通っている配管の場合は漏水音がしなければ気付けないことが多いです。
ですがその中でも台所の床下収納の中は気付きやすい場所の方でしょう。
台所の床下付近でピンホールが起きていた場合は床下収納を開けると漏水音がしたり溜まった水で収納BOXが浮いて来たりする事があります。
上記のような症状が発生したら配管ピンホールの可能性があるということを知っておいてください。
ピンホールによる水漏れが起きた時に補修や業者に電話するよりも先に行うことがあります。
それは給湯器下にあるバルブを閉めるということです。ピンホールの起きる配管(銅管)は給湯器下のバルブを閉めれば水漏れを一時的に止められます。
ただしバルブを閉めても配管内の残水や溜まった水が出てくることもあるので水漏れが完全に止まるまでにタイムラグがある場合もあります。
同様に元栓を閉めても水漏れを止めることは出来ますが元栓を閉めてしまうと水も使えなくなりますので原因が給湯管のピンホールであれば給湯器の下のバルブを止めましょう。
先程紹介した4つの症状が起きたらまず給湯器下のバルブを閉めるということを実施してみてください。
それで止まらなければ配管(銅管)ピンホールでは無いので元栓を閉めましょう。
露出している配管でピンホールが起きた時にDIYで補修できる場合があります。
それは「補修テープ」か「補修パテ」を使う方法です。
ここでは「補修テープ」と「補修パテ」のおススメの補修材をご紹介します。
■配管ピンホールのおススメ補修材
種類 | 商品 | メーカー | 価格帯 |
---|---|---|---|
補修テープ | シリコンテープ | SENKEI | 500円~1,000円位 |
補修テープ | アルミブチルテープ | Saki&Masa | 1,000円~2,000円位 |
補修パテ | 水中エポキシ | セメダイン | 1,000円位 |
それでは、配管穴あき補修材の詳細を見て行きましょう。
可塑性(かそせい)が強くて様々な形状に対応出来るのでフラットな管部のピンホールから90度に曲がった継手部のピンホールどちらにも対応出来ます。
靭性(じんせい)が強くて壊れにくく、配管にしっかりと近接でき、強い巻き効果を発揮します。
シリコンテープは自己融着テープであるので手にはくっつかずテープ同士がくっつくという特徴があります。粘着テープとして使用はできません。
ブチルテープは強力な粘着力が大きな特徴でアルミの表面にポリエチレンフィルムをラミネート加工しているので耐久性・防水性・耐熱性に優れているので屋外での使用にも適しています。
厚さは1.5ミリある厚手タイプで破損箇所をしっかりと補修、修理します。
配管補修のパテである水中エポキシは名前にもある通り水中で使用出来るほど防水効果が高い商品です。
配管以外ではプールや池のひび割れや洗面所・浴室・流し台・玄関等、各種タイルの接着にも使用できます。
最初は柔らかい状態で水漏れ箇所に接着し時間経過と共に硬化することによって水漏れを防ぎます。
基本的にはどの補修材を使っても配管ピンホールの補修ができます。
二つも三つも持つ必要は無いので好みに合う物を一つ準備しておくと良いでしょう。
補修材毎の配管ピンホール補修方法を見て行きましょう。
補修には補修材以外にもタオル、ハサミ、カッター(保護材、保温材を切る為)を準備しておきましょう。
・給湯器下のバルブを閉めてお湯を止めます。
バルブは45度だけ動く物や3、4回転回す物等があり全て時計回りに回して閉めます。
・閉めた後も残り水が出てきますので残り水が出なくなるまで待ちましょう。
・ピンホール部が剥き出しになっている場合は拭くだけでOKですが保護材や保温材が取り付けられている場合はカッターで取り除いてから拭きましょう。
保護材などを取り除く時は銅管をカッターの刃で傷つけないようご注意ください。
※保護材や保温材は補修テープや補修パテを取り付けやすいように少し広めに取り除きましょう。
①シリコンテープの保護フィルムを剥がして剥がした側を銅管に巻き付けます。
②ピンホルの場所から3cm~5cm位の距離から巻き付け始めます
③ピンホール周りをしっかりと巻き付けて余分なテープを切り取ります。最後にテープの端が座屈しない様に気を付けましょう。
④巻き付けたテープを手でしっかりと押して自己接着を促します。
・融着によるシール効果を高めたいので1~2時間してからバルブを反時計回りにゆっくり開けます。
※銅管内に急激に水が流れて行くと補修箇所に負荷がかかるのはもちろんのこと他の箇所で電食や潰食を起こしかねませんのでご注意ください。
・通水後に補修部分を確認して水漏れが無ければOKです。
新しい保温材の取り付けが必要な場合は別途購入してビニールテープなどで取り付けます。
※必要な長さにカットして貼るだけです。
注意点は気泡が入ったりテープがよじれたりしたいように貼り付けるということです。
・テープなので貼り付けた後に時間を空ける必要はありません。
※他はシリコンテープ4)と同じです。
①主剤(黒キャップ)と硬化剤(赤キャップ)を等量混ぜ合わせます。
・必ずポリ手袋を着用して使用してください。
・不要な板材などの上に取り出し、ヘラでよく混合します。
②混合したパテをピンホール周辺に塗る
・空気を押し出すようにすり込みながら塗り付けます。
露出していて漏れてる箇所が分かって作業できる状況ならちょっとした道具と補修材、注意点だけ知っていれば専門知識、専門技術、専門工具が無くてもDIYで補修可能な事もあるでしょう。
しかし、これらはあくまで一時的な補修に過ぎず使われてる配管(銅管)自体は古いままなのでまた同じような症状がどこかで起こる可能性がありますので早めに給湯管の引き直しを検討した方が良いでしょう。
DIYの補修では補修テープや補修パテを使って行いましたが水道業者の修理はどんなことをするでしょうか。
ここでは水道業者の主な修理方法を見て行きたいと思います。
水道業者による修理は「一部切り回し工事」か「全引き直し工事」のどちらかになります。
部分的な修理行なう場合の方法は「切り回し」と「ろう付け」です。
銅管ピンホールの場合は対象箇所の前後を切断して新しい銅管を取り付けるというものです。
銅管と接続継手は「ろう付け」と言われる方法で溶着をします。
因みにろう付けとは「はんだ付け」のことを言います。
銅管を接続継手に差し込んで接続部に銅管ソルダー(銅管用はんだ)を付けてトーチで熱して溶かしていき中に浸み込ませます。
冷えて固まるとはんだは金属になるので接続部はとても強固になります。
これを一部切り回し工事と言います。
それに対して全引き直し工事は給湯器の接続部から家の中の各蛇口(台所・洗面所・浴室等)までの配管を新しい配管にする工事です。
もし依頼する時に一部切り回し工事と全引き直し工事のどちらにするべきなのか分からないと判断ができませんよね。
ピンホールの場合は一部切り回し工事でも対応できるケースもありますが、状況によっては配管の引き直し工事でないと対応が難しい場合や今後も踏まえてした方が良いケースもあるので参考までにいくつか紹介いたします。
給湯管は床下、壁中、天井裏等に通っていますがピンホールの箇所によっては配管修理のスペースを確保できない事もあります。
床、壁、天井などを大々的に壊せば作業は出来ますが壊して直す費用を考えるとそちらの方が割高になってしまう事もあって修理が難しい場所の場合は全体的に引き直しをするのが一般的でしょう。
何か所もピンホールが起きていたら一部切り回し工事をして直ってもまた配管ピンホールによる水漏れが起こる危険性が高いでしょう。
ちなみに過去にピンホールの修理をして2回目にピンホールが起きた時も同様に考えた方が良いでしょう。
15年以上経過している銅管でピンホールが起きたら全引き直し工事をおすすめします。
銅管の耐用年数は約20~25年と言われてますが状況によって15年でも銅管自体の耐久性が弱くなってきてる場合もあります。
一部修繕をしても古くなっていけばまた違う箇所で起こる可能性が高くなっていきます。
今回は配管のピンホールについて見てきました。
銅管は薄くて経年劣化により孔食、電食、潰食という症状でピンホールが発生します。
ピンホールによる水漏れが発生したらまず行うことは給湯器下のバルブを閉めることが皆さんでもすぐできる応急処置でしょう。
そして一時的な補修は補修テープや補修パテを使用して簡単に行える方でしょう。
しかし、あくまで補修は一時的なものなので使用年数が20年以上経っているようであれば早めに配管の全体的な引き直し工事を水道業者に相談した方が良いでしょう。