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給水管、給湯管、蛇口の接続にはいろいろな接続方法があります。
ユニオンパッキン、シールテープ、ろう付け、ワンタッチソケットetc. それぞれ状況や配管、部材の素材に合わせてどれを使用するか選択されます。
今回は接続方法の一つである「シールテープ」に関して、シールテープの正しい巻き方やシールテープを巻いた部材の正しい替え方を中心に解説して行きたいと思います。ぜひ最後までご覧ください。
目次
シールテープはテフロン製のシールで、薄いシールがテープ状にリールへ巻かれています。
テープではありますが、粘着性はありません。
多少、伸縮性はありますが強く引っ張ると手で簡単に切れます。
では、このシールテープはどのような役割があり、どんな所で使われるかを見て行きましょう。
シールテープは、水道管・空気管・油圧管などの接続部に使われます。
その接続部がネジ込み式の場合はネジを締め込んでもネジ山とネジ山の間にわずかな隙間が出来る為、完全に密閉することは出来ません。
そのままでは水や気体や油等が接続部から漏れ出してしまいます。
それを防ぐ為にシールテープを使って密閉し、接続部から漏れ出さないようにしています。
シールテープの接続とユニオンパッキン、ろう付け、ワンタッチソケットの接続では特徴にどのような違いがあるのかを見て行きましょう。
ちなみに、ユニオンパッキンは水道管、水栓問わず、様々な接続に使われます。
ろう付けは銅管の接続方法で、ワンタッチソケットはポリ管の接続方法です。
接続の種類 | 施工難易度 | 接続強度 | 再取付 |
---|---|---|---|
シールテープ | 中 | 強 | 可 |
ユニオンパッキン | 低 | 弱 | 可 |
ろう付け | 高 | 強 | 不可 |
ワンタッチソケット | 低 | 中 | 不可 |
※ろう付けとは銅管の接続部にはんだを流し込んで接続する方法です。
※接続強度は耐久性や耐衝撃性で判別しています。
相対的な比較として差を付けましたが、ユニオンパッキンの強度が「弱」というのはユニオンパッキンが脆いということではなく、他の接続と比べると「弱」になるというだけです。
ユニオンパッキンの接続も決して脆くはありませんのでお間違えないように。
シールテープ接続の特徴は強度が強いことと巻き直して再取付が可能なことです。
基本的には強度が強くなればなるほど再取付は出来なくなります。
強度が強いのに再取付が可能というのは大きな特徴です。
「壁付水栓」とは、壁面に給水管や給湯管の接続部があり、そこに水栓が取り付けられているタイプの物を言います。
給水管・給湯管と壁付水栓の接続にシールテープが使われています。
ちなみにもう一つのタイプは「台付水栓」という物で、こちらは給水管や給湯管の接続部が台の下にあり、水栓が台に固定されているタイプです。
家によって各水回りがどちらかのタイプになっています。
壁付水栓は以下の場所に設置されることがあります。
・台所(台付水栓の方が壁付水栓よりも多い、しかし店舗の厨房などは多くが壁付水栓)
・浴室
・洗濯場(ほとんどの家が壁付水栓)
・外部(水栓柱と言われる立ち上がった棒に取り付けられる)
止水栓や化粧パイプは給水管、給湯管から水栓の間にある部材で、それぞれの接続にシールテープが使われます。
止水栓、化粧パイプは以下の場所に設置されることが多くあります。
・トイレ(壁給水、床給水問わず、ほとんどのトイレで使われている)
・台所(壁付水栓では使われず、多くの台付水栓で使われている)
・洗面所(壁給水、床給水問わず、ほとんどの洗面所で使われている)
給水管には鉄管、塩ビ管、ポリ管とありますが、基本的には鉄管の接続で使われています。
他の管は接着剤やワンタッチソケットなどで接続していますが、鉄管はネジ込み式の為、シールテープで接続しています。
管の種類(給水、給湯、VP、ポリ、銅、鉄)に限らず、給湯器と止水バルブの接続はネジ込み式になっている部分がありますので、その部分はシールテープで接続しています。
家の水回りでは主に上記のような場所でシールテープが使われています。
自分の家にもいくつかの場所でシールテープが使われていると思いますので、一度確認してみてはいかがでしょうか?
シールテープを巻く前に行なった方が良いことがあります。
以下にまとめましたので見て行きましょう。
水回りの接続ネジには2種類のネジがあります。
それは「管用テーパーネジ」と「管用平行ネジ」です。
それぞれ形状と用途に違いがあります。
・管用テーパーネジ
テーパーネジは先端に向かって段々と細くなっている形状で、ネジ部の耐密性を主目的とするネジです。
ネジ間の隙間を埋める為にシールテープが使われています。
・管用平行ネジ
平行ネジは先端が細くならず同経のままの形状で、接続において機械的結合を主目的とするネジです。
先端にユニオンパッキンを取り付けることにより接続部を密閉しています。
「ネジ=シールテープ」ではないということですね。
シールテープが使われている場所は基本的にテーパーネジですが、平行ネジの部分にシールテープを使っても密閉することは出来ずに水漏れします。
例えば、フレキ管と接続するボールタップのネジ部です。
ボールタップとの接続パッキンが劣化で水漏れして修理したいが新しいパッキンを持ってなくシールテープで代用する、このようなやり方はNGなので絶対にやらないようにしましょう。
要は「テーパーネジ=シールテープ」、「平行ネジ=ユニオンパッキン」ということですね。
まずは、シールテープを巻くネジがテーパーネジであるかを確認してから巻くようにしましょう。
シールテープを巻いて取り付けする時に不安なのが「何回転回せば良いかがわからない」ということです。
ネジの接続部は、接続する物や場所によって回せる回数が違う為、一概に何回とは言えません。
ネジの接続部は回す回数が多い程、強度も上がり、少ない回数にする程、強度が下がってしまいます。
出来るだけ多くの回数を回す為にも、最大で何回転分回るかを確認しておくと、この後の作業で余計な手間が省けます。
片側が円筒の管であれば向きが関係ないので必要ありませんが、壁付水栓の場合は向きや位置が重要になるので効果的な方法です。
この作業をした後はネジの部分が濡れますので、必ずタオルやティッシュペーパーで水分を拭き取りましょう。
また、シールテープを巻かずに回し込んでみることによって、ネジ山とネジ山の間にどの程度の隙間があるのかも把握できます。
このように「ネジの確認」と「回数の確認」をしてからシールテープの巻き付けを行うと、作業のやり直しをする頻度も減ります。
シールテープを正しく巻く為には、いくつかのコツやポイントがありますので詳しく解説して行きます。
ネジ先端のネジ山を2山分はシールテープを巻かないようにしましょう。
先端までシールテープを巻いてしまうと以下の不具合が起きてしまうこともあります。
最初のネジ山がかみ合わないと回し込むことはできません。
先端部分がシールテープで覆われていると最初のネジ山がとてもかみ合いにくいです。
回し込みにくいので、何度も擦り付けているとシールテープがめくれ上がって来きます。
最初のネジ山がやっとかみ合ったと思って回し込んでも、ネジだけ中に入りシールテープがどんどんめくれ上がって、全くシールテープがかまないというようになることがあります。
回し込みにくいので、何度も擦り付けていると先端部のシールテープが切れていまいます。
管の内側で切れたシールテープは配管内に入ってしまう為、目詰まりや機器の故障を起こす危険性があります。
ネジ山2山分開けて巻くことによって、このようなトラブルを回避することが出来ます。
また、ネジ部に水分や油分があるとシールテープが滑ってしまうこともあるので、タオルやティッシュペーパーで良く拭いてからシールテープを取り付けるようにしましょう。
シールテープの巻き方向は時計回りに巻いて行きます。
なぜ、シールテープを時計回りに巻くかというと、時計回りに回転していくようネジが切られているからです。
もし、反時計回りで巻いてしまうと取り付けの時に反対向きの力が働くことになり、回し込めば回し込むほどシールテープを剥がす方向の力が強くなってくるからです。
巻き方を具体的に説明して行きます。
まず巻く前にシールテープを確認し、先端がガタガタしていたらハサミやカッターでキレイにカットしましょう。
それでは右利きの人を例に説明すると水道配管にシールテープを巻く場合、シールテープを右手に持ち、管を左手に持ちます。
ネジ部が目の前に来るようにし、シールテープを内側から外側(下から上)に巻いて行きます。
巻き方のコツは「少し引っ張りながら巻く」ことと「シールテープの外側を巻き付けるようにする」ことです。
特に最初の一巻き目が大事です。
金属で滑ったりした場合は、そのまま続けずに巻き直しましょう。
たわみや隙間を無くすように巻いて行き、巻き終わったあとはハサミやカッターに出来るだけきれいにカットしましょう。
また、外側を巻き付けるのは、内側を巻き付けるとリールが扱いにくく、巻きにくいからです。
正直、シールテープを巻く回数はいろいろなサイトで様々な見解があります。
何回巻くのが正しいのでしょうか?
実際は10回前後であればほとんどのケースで対応出来ます。
しかしここでは、より細かく、当社スタッフの経験則に基づくおすすめの回数をご紹介して行きます。
おすすめの巻く回数は8回、10回、12回です。
なぜ、回数に幅があるのかというと場所や種類によって隙間の幅に違いがあるからです。
では一覧表にまとめましたので見てみましょう。
種類 | 場所 | 巻く回数 |
---|---|---|
壁付水栓 | 台所 | 12回 |
浴室 | 12回 | |
洗濯場 | 10回 | |
外部 | 10回 | |
止水栓、化粧パイプ | 各所 | 8回 |
給水管(鉄管) | 各所 | 8回 |
給湯器、止水バルブ | 外部 | 8回 |
壁付混合水栓が12回、壁付単水栓が10回、それ以外の配管系は8回と思っていただくとわかりやすいと思います。
該当箇所の回数を巻いて取り付けをしてもシールテープが多くて取り付け出来ないという場合は、巻き方がしっかりできていないか隙間幅がより小さいかのどちらかです。
まずは巻き直しをして再取付をしてみましょう。
巻き直しをしても変わらない場合は巻く回数を2回減らして巻き、再取付をしてみましょう。
巻き終わったら指で押さえて馴染ませます。
この工程はとても大事で、巻く位置、巻く向き、巻く回数が合っていてもこの工程をしなければキチンと取り付けできない事があります。
また、爪で溝を押さえ付けるのはやめましょう。
シールテープを切ってしまう危険性があります。
ネジ山とシールテープに滑りが無く、キレイなネジの形状になっていればシールテープの巻き付けは完了です。
シールテープを正しく巻けても、正しい替え方が出来なければ意味がありません。
水漏れ修理や水栓交換等の場合、シールテープを正しく巻けてもまだ50%しか終わっていない様なものです。
ここではシールテープを巻き付けた部材の正しい替え方を見て行きましょう。
壁や床から出ている給水管や給湯管との接続は、作業をする上で気を付けなければいけない点があります。
それは、受けの部分(雌ネジ)がしっかりと固定されているかどうかです。
これは、取り外す時も取り付ける時も同様です。
受けの部分がグラグラしている状態で取り外しや取り付けを行った場合、壁中の水道管が折れてしまうことがあります。
これは水道工事の事故でも最もメジャーな事故です。
取り外し、取り付けをする時に受けの部分のグラつきがあった場合は固定する方法を考え、対処してからでないと作業を進めることは出来ません。
しっかりと固定していれば問題なく取り付け、取り外しが出来ます。
取り外す時のポイントは、最初が重く(固く)、回せば回すほど軽くなるということです。
一度動いてしまえば、後はさほど力は入りません。
取り外した時、雌ネジ部分にシールテープのカスが残っている場合はキレイに取り除きましょう。
取り付け時のポイントは逆に、最初が軽く、回せば回すほど重くなるということです。
徐々に重くなるというのはしっかりシールテープが効いている証拠なので、正しく取り付けが出来ています。
どれもシールテープが効いていない、もしくは途中から効かなくなった時に起きる症状です。
このまま通水すると水漏れしますので、この症状の時には一度取り外し、シールテープから巻き直す必要があります。
取り付けで回す回数は、最初にシールテープを付けない状態で確認した回数-1回にしましょう。
例えば、シールテープを付けない状態で6回転したら、取り付け時の回す回数は5回転ということです。
ちなみに最初の回数確認で6.5のような中途半端なところで止まった場合、0.5の部分は省いて大丈夫なので5回転となります。
これをしないと何回転して良いのかがわからない為、シールテープを巻いた状態で最後の回らない所まで回し切ってしまうことがあります。
その時、真っすぐな位置になることはまず無く、斜めで止まってしまうので一度取り外して、シールテープを取り除き、水分を拭き取ってまた巻き直す、という手間がかかるケースが多いです。
そうならない為にも「最初の確認回数-1回」というのは効果的な方法です。
実際は3回転位でも水漏れせずに取り付け出来ますが、回数が少なければ少ない程、強度が弱くなるのでやめましょう。
水栓や止水栓の場合は取り付けの時に位置調整が重要になります。
しっかりと位置調整をしないと斜めになってしまうことがあります。
水栓が斜めになっていたら使いにくいですし、何と言っても見た目が良くありません。
例えば、時計で言うと12時の位置が真っすぐだとします。
12時の所で止めるつもりが1時の所まで行ってしまった場合、右から左(反時計回り)に戻して調整するのはNGです。
反対向き動かすと接続部に隙間が出来て水漏れを起こします。
1時まで行ってしまった場合はもう一周するという選択肢もありますが、最初の確認回数-1回で取り付けていた場合、より重くなるので微調整が難しくなります。
なので、1時まで行ってしまった場合は取り外してシールテープから巻き直しましょう。
このようにならない為には、11時の辺りで一度止めることです。
そして、最後の微調整を左から右(時計回り)行うと水漏れの心配なく、希望の位置に調整できます。
希望の位置が真上とは限らないので時計の例以外で言うと「希望の位置の少し手前で一旦止め、微調整を左から右に行う」ということです。
シールテープはいろいろなメーカーから販売されています。その内のいくつかをご紹介します。
商品説明
・フッ素樹脂を未燃成のままテープにしたもので自己融着する
・長さ5m
・テープ幅13mm
商品説明
・水栓補修用のシールテープ
・長さ15m
・テープ幅20mm
・小径ネジに最適
・長さ5m
・テープ幅8mm
・鉄・アルミ・ステンレスパイプ・プラスチックパイプなどのシールに向いている
・長さ5m
・テープ幅13mm
・適応流体:水、空気
・長さ5m
・テープ幅13mm
基本的にシールテープであればメーカー問わず、どれでも使用できますが大事なのはテープ幅です。
13mmが基本で、8mmは狭く20mmは広いタイプです。
接続部に合った幅の物でないとシールテープは巻きにくくなります。
ちなみに一般家庭で使われる水道の大きさは、呼び経13mm、20mm、25mmなどがあります。
その中でも一番多いのが13mmです。
呼び径13ⅿⅿであれば、テープ幅は13ⅿⅿの物が最適です。
ヘルメシールとは液体のシール材で、接続箇所に塗布して使用します。
時間が経つと硬化し、密閉性を高めます。
また、硬化には4時間~6時間程かかると言われています。
シールテープと併用して使われることも多くありますが、シールテープだけでも問題ありません。
ヘルメシールのメリットは、シールテープを併用することで接続部の耐久性、耐衝撃性、密閉性が高くなることです。
一方、デメリットは、一度塗布するとヘルメシールをキレイに取り除くことが難しい為、付け直しに向かないということがあります。
付け直す可能性がある場合はシールテープだけで取り付けた方が良いでしょう。
今まで解説してきたシールテープの巻き方、対象部品の替え方を「浴室の壁付サーモスタッド水栓」を例に、流れで見て行きましょう。
※偏心管も外すので必ず元栓を閉めてください。
・受けの部分(雌ネジ)がしっかりと固定されているかを確認
・水栓本体と偏心管の接続ナットを緩めて本体を取り外す
・偏心管を反時計回りに回して取り外す(2本共)
・取り外したら雌ネジの部分に残ったシールテープカスをキレイに取り除く
・水、お湯両方確認する(水とお湯で回る回数が違うこともある為)
・今回は両方6.5回転したとする
・一度偏心管を取り外し、タオルかティッシュペーパーで水分を拭き取る
・座金がある場合はシールテープを巻く前に偏心管に取り付ける
・ネジ山2山分開けて、時計回りに12回巻く
・巻き終わったら指で押さえて馴染ませる
・今回は5回転回し込む
・希望の位置の少し手前で止め、位置調整をする
・水栓本体と偏心管の接続ナットを締めて本体を取り付ける
・接続部に(シールテープ、ナット部分)に水漏れが無いかを確認する
・新しい浴室水栓の動作確認をして、問題なければ終了
他の場所でも基本的な流れは同じなので、ぜひ参考にしてみてください。
シールテープを巻く時、シールテープを巻いた部材を取り付ける時は、正しいやり方を知っていることが必要です。
しかし、いくら正しいやり方で巻けても、正しいやり方で取り付けをしたとしても1回で上手くいかない時があります。
慣れていなければ尚更です。
もし、慣れていない場合は「最初の1回目は練習で2回目が本番」という気持ちで臨んだ方が良いかもしれません。
1回で無事に取り付けられればそれに越したことは無いですし、1回目が上手くいかなくて2回目になったとしても「1回目は練習」と思えれば変に焦ることもありません。
何回やっても上手くいかない時や水漏れが直らない時は水道修理業者にご相談ください。