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水道修理のプロが使う薬品の内、詰まりの除去に使う代表的な物が「ピーピースルー」と「デオライト」の2つです。
代表的なピーピースルーは固形物(フレーク状・粉末状等)ですが、デオライトは全て「液体」です。
それでは、デオライトについて詳しく見て行きましょう。
デオライトは「尿石除去剤」と言われる尿石の除去に特化した薬品です。
和協産業という会社が製造・販売しているもので、プロの水道業者も使用している尿石除去剤です。
塩酸、硫酸等を主成分とした酸性の薬品で、トイレの尿石、黄ばみ、悪臭の除去に効果的です。
尿石は石の様に固い為、通常の酸剤では除去し難いものです。
デオライトは排水管奥部や連結横管の頑固な尿石スケールを速効的に除去します。
デオライトにもいくつか種類はありますが、主なデオライトは液体で「粘性のある液体」と「粘性の無い液体」に分かれます。「医薬用外劇物」に指定されているものが多く、医薬用外劇物の場合は購入する時に所定の手続きが必要となります。
尿石は、尿液中の成分が便器内で凝固して形成される物質のことを指します。
主な成分は尿中の有機物、尿素、そしてカルシウムイオンです。
これらの成分は便器内で反応し、カルシウム化合物を形成し、便器やパイプ内に沈殿します。
沈殿したカルシウム化合物が時間経過と共に固くなり尿石となるのです。
尿石が一番発生するのは「小便器」で、定期的に掃除をしないと配管周りに尿石が出来、水の通り道をどんどん狭くして行き、最終的には詰まってしまいます。
また、尿石は小便器だけでなく大便器や汚水管内に発生することもあります。
尿石は臭いも発生するので、量が多くなると尿独特の強烈な悪臭となります。
尿石はアルカリ性の性質を持っている為、除去するには酸性の薬品が必要になります。その為に開発されたのがデオライトなのです。
デオライトシリーズは「デオライト」「デオライトL」「デオライトSS」「デオライトSP」という4種類があり、それぞれ特徴が異なります。
それではどのような特徴があるのかを見て行きましょう。
デオライトは強力な港透剤を配合した薬剤で、尿石を微細に粉砕して流し出す効果のある薬品です。
強力な薬剤である為、「医療用外劇物」に指定されています。
購入には所定の手続きが必要になります。
粘着性の薬品で、傾斜面や立面の多い便器に付着した尿石・スケール除去に効果があります。
デオライトLの一番の特徴は「医療用外劇物」に指定されていないということです。
医療用外劇物ではないのでいろいろな所で販売していて、気軽に購入することが出来ます。
従来の尿石除去剤と同等の洗浄効果を備えているにも関わらず、医療用外劇物に指定されていない薬品です。
環境への影響にも配慮されています。
デオライトSSはデオライトよりも強力な尿石除去剤で「医療用外劇物」に指定されています。
プロが使う業務用の薬品です。デオライトの性能を更に強力で速効性を持たせた商品です。排水管の奥部や連結横管の頑固な尿石・スケールを速効的に除去します。
デオライトSPと比べて刺激臭が少ないという特徴もあります。
デオライトよりも強力な尿石除去剤で「医療用外劇物」に指定されています。
プロが使う業務用の薬品です。排水管に注ぐだけで目に見えない、手の届かない排水管の深部や屈曲部の尿石に速やかに到着し、強い溶解反応と剥離作用で速効的に除去します。
特殊な防錆防食剤が配合してあり排水管に防錆効果を与えます。
刺激臭や発煙性が少しあるというのもデオライトSPの特徴です。
次に比較表を見て、それぞれの違いを確認して行きましょう。
品名 | 洗浄力 | 標準 反応時間 |
粘性 | 泡立ち | 尿石に対する 反応 |
刺激臭 | 発煙性 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
デオライトL | 中 | 約30分 | なし | なし | 穏やか | 少ない | ほとんどなし |
デオライト | 中 | 1時間以上 | あり | あり | 穏やか | 少ない | ほとんどなし |
デオライトSS | 強 | 20~30分 | なし | なし | 早い | 少ない | ほとんどなし |
デオライトSP | 強 | 10~20分 | なし | なし | 激しく早い | ややあり | ややあり |
表で見ると違いが分かりやすいですね。
端的に一番の特徴を言うと「デオライトLは誰でも買える」「デオライトは粘性がある」「デオライトSSは強力で臭い無し」「デオライトSPは強力で臭い有り」ということです。
4つのデオライトは、具体的にどのような状況の時に使うのが効果的なのかを見て行きましょう。
品名 | おすすめ用途 |
---|---|
デオライトL | 軽度の尿石・黄ばみの除去 ・大便器内の輪染み、陶器表面の黄ばみ等 |
デオライト | 壁面・傾斜面の尿石除去 ・小便器内壁面、大便器内傾斜面の尿石等 |
デオライトSS | 重度の尿石の除去(排水管奥、連結横管) ・小便器トラップ部、連結横管の重度の尿石等 |
デオライトSP | 重度の尿石の除去 ・小便器トラップ部、小便器下部の重度の尿石等 |
それぞれの用途に合わせて使用するデオライトを選ぶことが、効果的に尿石を除去するコツです。
デオライトは何処で購入できるのでしょうか。デオライトの多くが医療用外劇薬なのでドラッグストアなどには置いていません。
尚、医療用外劇薬ではないデオライトLも置いていません。
購入出来る場所は主に「ホームセンター」か「ネット通販」になります。
デオライトLであれば普通の商品と同じ様に購入できますが、医療用外劇薬のデオライト・デオライトSS・デオライトSPの購入をする場合は所定の用紙への記入、提出が必要になります。
デオライトは正しい使い方をしないと効果が半減するだけでなく、人体や設備に悪影響を及ぼす危険性があります。
ここでは、デオライトSPの効果的な使い方と使用上の注意点を解説して行きます。
デオライトは強力な尿石除去剤です。作業する上での準備をしっかりとしなければいけません。
まずは「必要な道具」から見て行きましょう。
デオライトは強力な酸性の薬品です。
絶対に素手で取り扱わないようにしましょう。
ゴム手袋の装着は必須ですが薄手の使い捨ての物は破れる恐れがある為、厚手のゴム手袋を準備しましょう。下記のような物がおすすめです。
薬品が飛び跳ねて目に入ると大変なので、保護メガネも装着しましょう。
薬品によって刺激臭はほとんどしませんが、強い薬品を扱うのでマスクは装着しておきましょう。
一つは目皿掃除用、もう一つはアルカリ性の中和剤を作ったり、水を流したりする時用に必要です。
便器から水を汲み上げる時に使います。
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尿石を落とす時に使います。特に小便器の目皿の尿石を落とす時に活躍します。
歯ブラシもおすすめで、目皿の尿石を落とす時に効果的です。
止水栓を閉める時に使います。
小便器の目皿が尿石や洗剤カスで固着して取れないこともあります。
その場合の対処として、針金かマイナスドライバーを使うと取り外しやすくなります。
※他には、中和剤としてピーピースルーなどアルカリ性の薬品が必要になります。
皆さんが用意するならピーピースルーFなどが購入しやすく
次に「換気」に関してです。
デオライトSP以外、デオライト自体の臭いはほとんどしませんが、それでも薬品なので密閉空間で大量に吸い込むと体調が悪くなる恐れがあります。
また、尿石は強いを発することがあります。
一定時間嗅いでいるとこちらも体調を悪くする恐れがあるので、「換気扇を回す」「窓や扉を開ける」ということは、作業前に忘れずに行いましょう。
※デオライトの保管は必ず密閉し、鍵をかける等、子供の手の届かない所に保管するようにしましょう。
小便器の尿石除去作業を例に説明して行きます。
・特に気を付けたいのがセンサー式フラッシュバルブの小便器です。
止水をしないとセンサーが反応して意図せず水が流れて来ます。
デオライトを投入していたらデオライトが薄まってしまうので効果が半減してしまいます。
・小便器のタイプにより止水部のある場所は様々ですが、押しボタン式の多くはフラッシュバルブの近くに止水栓があり、マイナスドライバーで止水できます。壁に埋め込まれているセンサータイプは壁の裏に止水部があったり、パイプシャフト内にバルブがあったりと建物によって様々です。
・小便器の下部にある目皿を取り外します。
取り外した目皿はバケツに入れ、目皿が浸る位までデオライトSPを入れて5分位待ちます。
付着している尿石が柔らかくなっているのでブラシで擦り落とします。
・目皿が外れない場合は以下の方法を試してみましょう。
「針金を目皿に引っ掛けて持ち上げる」
「目皿の縁にマイナスドライバーを差し込み、浮かせて取り外す」
・陶器の目皿は落とすと割れてしまいます。取り扱いに注意してください。
・目皿を外し、中に溜まっている水を灯油ポンプで汲み上げましょう。
・尿石がドロッとしている場合、灯油ポンプが目詰まりを起こすこともあります。目詰まりを起こしてしまったら分解して水で洗い流しましょう。
・トラップの水が無くなると悪臭が発生することもあります。換気は忘れずにしておきましょう。
・飛び跳ねない様にゆっくり注ぎます。
・デオライトSPは手持ち付きボトルなので、キッチリ1/4を測るのが難しいです。おおよそ1/4で構いませんので測るのが、難しい時はあまり悩まないようにしましょう。
・デオライトSPに浸けることで尿石が柔らかくなります。
・15分程待ったら1ℓ位の水を流して柔らかくなった尿石を流します。
・酸性のデオライトを流すことにより、浄化槽に悪影響を及ぼす恐れがあります。
その為、アルカリ性溶液を作り、酸性のデオライトに投入することで中和されます。
・中和剤(アルカリ性溶液)の作り方は、もう一つのバケツに5ℓの水を入れ、ピーピースルー100gを投入します。良く溶かしたら完成です。
・完成した中和剤をゆっくり小便器に流します。
・しっかり中和させる為に、5分間待ちましょう。
・最後はしっかりと水を流します。流れ方も良くチェックしましょう。
※改善しない時は、3.~9.をもう一度繰り返してみましょう。
小便器が複数あり、排水が連結横管の場合は下手(しもて)から順に行っていきます。
例えば、小便器が3台連なっていて「左・中・右」の内、左の方に水が流れて行く場合、下手は左側になるので左の便器から順に作業をして行きます。
デオライトは強力な薬品なので使い方を間違えると「汚れが落ちない・詰まりが改善しない」というだけでなく、人体や排水設備、器具に悪影響を及ぼす恐れがあります。
デオライトを使用する時は以下の内容をよく把握して行うことが大切です。
繰り返しになる部分もありますが、特に大事なのでしっかり見ておきましょう。
・デオライトは強酸性の液体なので触れると人体に悪影響を及ぼします。絶対に素手で行わないでください。
・厚手のゴム手袋を着用して行いましょう。保護メガネやマスクも付けましょう。
・もし人体に付いてしまった場合はすぐに水で洗い流しましょう。
・使用した後のゴム手袋は破棄するか良く洗い流しましょう。
・強い酸性の液体なので規定時間を大きく超えて使用しないようにしまう。時間をオーバーしすぎると陶器表面の防汚コーティングを剥がしてしまう恐れがあります。
・デオライト使用後は中和剤を流しておくとより安心です。
ブラッシングも強くやり過ぎると、防汚コーティングを剥がしてしまうこともありますので注意しましょう。
・デオライト自体の臭いはほとんどしなくても薬品なので、密閉空間で大量に吸い込むと体調が悪くなる恐れがあります。また、尿石が臭いを発する場合、かなり強烈なのでこちらも体調が悪くなる恐れがあります。
換気扇を回すだけでなく、あるなら近くの窓も開けるようにしましょう。
・塩素系の洗浄剤と絶対に混ぜないでください。有毒なガス(塩素ガス)を発生させる恐れがあります。また、塩素系に限らず、他の洗浄剤、薬品と混ぜるのもNGです。
・タンクに入れたり、タンク蓋に乗せたりする洗浄剤を使っている場合は取り外し、水を何回か流して洗浄剤の成分を取り除いてから行うようにしましょう。
デオライトは強酸性の薬品で「尿石除去」に特化した商品です。
デオライトシリーズは「デオライト」「デオライトL」「デオライトSS」「デオライトSP」という4種類があります。
デオライト、デオライトSS、デオライトSPは医薬用外劇物に指定されている為、購入する時に所定の手続きが必要となります。
それに対し、デオライトLは医薬用外劇物に指定されていない為、ホームセンターやネット通販などで普通に購入出来ます。