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「グリストラップ」ということ言葉が聞き馴染みが無いという方もいると思います。
ただし飲食店で働いた経験のある方はグリストラップを見たことがある方もいるでしょう。
グリストラップは飲食店に設置されていて排水の汚れを取り除く装置なのですが詰まってしまうことがあります。
今回はグリストラップの機能や詰まる仕組みや応急処置方法から修理業者に頼んだ場合の料金目安までグリストラップに関することを詳しくご説明いたします。
飲食店で働いている方はもちろんのことそれ以外の方でも家の台所排水詰まりの参考になる情報などがございますのでぜひ最後までご覧ください。
目次
一般のご家庭では台所シンクの下から下水マスまで間は排水管しかありませんが飲食店の厨房はその間にグリストラップがある事が一般的です。
グリストラップは直方体の形状で基本構造は中が3槽に分かれていてそれぞれの槽で汚れと排水を分離させてきます。
そして汚れをある程度分離させた排水を排水管や公共下水管に流して行きます。
一般家庭にグリストラップが設置されない理由は単純に必要が無いからです。
台所排水は雑排水を言われますが雑排水の排水管口径は40mmか50mmで一般家庭の排水量を考えると雑排水の排水管のみで充分だからです。
なぜ飲食店に設置されているのかというと一般家庭と飲食店では排水の質と量に違いがあるからです。
飲食店は圧倒的に調理回数が多くて食材カスや油・脂が多く出るために油脂成分の多い排水になります。
また洗い物の回数も多くなるので排水量が格段に多いわけです。
このように飲食店の排水は油脂やゴミが多く排水の量も多いので一般家庭のように排水管だけだとすぐに詰まってしまうからです。
他にも油・脂や食材カスが多い大量の排水を公共の下水道や河川に流さないようにするという環境的な観点もあり飲食店にグリストラップが設置されているのです。
グリストラップは排水の「油脂やゴミ」と「水分」を分離させます。
油脂やゴミをグリストラップ内に留めて汚れ成分の少なくなった水を排水管に流すという機能があります。
それではグリストラップ内部がどうなっているのかを見て行きましょう。
グリストラップ内は基本、3槽に分かれていて、それぞれの槽には役割があります。
第1槽 | 第2槽 | 第3槽 | |
---|---|---|---|
仕組み | 台所シンクや側溝を流れた排水が流れ出てくる場所。 ゴミ受けのカゴがありその中に排水されることにより食材カスや生ゴミを取り除く。 ゴミ受けのカゴを通過した小さいゴミは第1槽の下に沈殿する。 |
第2槽の中で油脂成分と水分に分離される。 水面に油汚れが溜まり油脂成分の減った排水が第3槽へ流れて行く。 |
第3槽の中で更に油脂成分と水分に分離される。 水面に油汚れが溜まり油脂成分の減った排水がグリストラップの出口から排水管へ流れて行く。 出口にはトラップ管が付いていて悪臭防止と油脂成分が流れないようになっている。 |
ポイント | 主に排水と食材カスなどの固形物を分離させる | 排水の油脂成分と水分を分離させる。 | 排水の油脂成分と水分を更に分離させる。 |
このように第1槽から第3槽へと排水が流れて行く事により排水の含まれている油脂成分やゴミを分離させて下水管に排水を流していきます。
グリストラップには大きく分けて3つの種類があります。
特徴 | |
---|---|
屋内埋設型 | 厨房内の床に埋設されています。厨房内の排水は全てグリストラップに流れて行きます。 |
屋内床置型 | 厨房シンクの下に置かれることが多いです。対象のシンクの排水のみグリストラップに流れて行きます。 |
屋外埋設型 | 厨房の外(屋外)の地面に埋設されています。厨房の排水は全てがグリストラップに流れて行きます。 |
それではグリストラップの種類ごとのメリットとデメリットを見て行きましょう。
排水処理能力 | サイズ | 清掃のしやすさ | 設置費用 | |
---|---|---|---|---|
屋内埋設型 | 高い | 大きい | 清掃しやすい | 高い |
屋内床置型 | 低い | 小さい | 清掃しやすい | 低い |
屋外埋設型 | 高い | 大きい | 清掃しにくい | 高い |
サイズが大きいと設置をする場合は費用が高いということだけでなく屋外に充分なスペースがないと設置できません。
グリストラップで詰まりが発生する時は何が原因で詰まるのでしょうか?
グリストラップが詰まる仕組みや詰まってしまった時のリスクについて解説して行きます。
グリストラップ詰まりの原因は大きく分ける2つに分類出来ます。
排水は液体ですがグリストラップ内で分離した油汚れは徐々に変化して固体になります。
最初は油脂成分が水面に膜をつくります。
排水量が多く油脂成分も多くなって膜が半固形物になり最終的には固形物になって行きます。
この固形物化した油汚れの量が多くなると排水の通り道を塞いで詰まりが発生するのです。
油脂は汚れと混ざることによって固形物化して行きますがどのような固形物になるかというと固めのチーズのようになります。
グリストラップ内壁や排水管内に油汚れが固着し時間経過と共にどんどん大きくなっていくのです。
排水と一緒に流れた食材カスや生ゴミは固形物なので量が多ければ詰まりを発生させてしまいます。
定期的に掃除をしていないとグリストラップ第1槽のカゴで受けきれないゴミが先に流れていって詰まりの原因になってしまうのです。
※詰まりの原因は主に2つに分類出来ますがほとんどのケースが固形物化した油汚れ(油脂の塊)による詰まりです。
詰まっている油汚れは一般家庭の台所排水詰まりの原因となる油汚れと同じですが違いは圧倒的に量が多いということです。
厨房のグリストラップ詰まりが発生する要因は定期的にグリストラップの清掃が出来ていないということが考えられます。
グリストラップは排水から油汚れやゴミを分離する場所ですがグリストラップ内に溜まった油汚れやゴミを取り除かないとそれが流れていき詰まりの原因となってしまう訳です。
「グリストラップが詰まる」ということは排水が出来なくなるので洗い物が出来なくなるということですね。
お店によっては営業を中止せざるを得なくなります。
飲食店にとって営業中止しなければいけないということは大変な痛手になります。
また酷い場合はグリストラップから水が溢れるという症状にもなります。
水が溢れた時に屋内埋設型の場合は厨房の床が水浸しになってしまうことが考えられます。
屋内床置型の場合は床に排水口の無い場合が多いので溢れた水の処理が大変になります。
屋内床置型のグリストラップを設置している店舗は建物の2階以上にあることが多くて水漏れの量によっては階下漏水のリスクも考えられます。
屋外埋設型の場合は外に水が流れてしまいますし厨房から見えない位置にあるので外で水が溢れて初めて詰まりに気が付くということもあるようです。
グリストラップ詰まりの応急処置方法として洗剤や道具を使用した応急処置方法を3つご紹介いたします(スーパーグリスカット・パイプユニッシュ・グリースクリーン)
スーパーグリスカットは液体洗剤で油汚れを除去する効果があります。
・最初に窓を開ける・換気扇を回す等の換気をしっかりと行いましょう(強い臭いが発生する可能性がある為)
・バスケットを取り出してゴミを取り除きます。グリストラップ内に固形物化した油・脂があれば取り除きます。
取り除いたゴミや固形物化した油脂の塊りはゴミ袋に分けて入れます。
食材カスなどのゴミは一般ゴミへ油・脂の塊りは産業廃棄物として処理します。
決して排水管に押し流すということはしないでください。
・スーパーグリスカットはバケツで10倍に薄めた物を使います。
・その間は水を流さないようにしましょう(洗剤で油脂を分解している為)
・水を流して詰まりが解消しているかどうかを確認します。詰まりが解消していればキッチンの蛇口やホースなどの水で洗い流してバスケットをセットし蓋を戻します。
「パイプユニッシュ」という洗剤の名前を耳にしたことがあるという方も多いのではないでしょうか。
メジャーな洗剤ですよね。パイプユニッシュは水酸化ナトリウムを用いているアルカリ性の洗剤です。
水酸化ナトリウムは油汚れを溶かす効果があります。
※グリストラップの詰まりではキッチンシンクからグリストラップまでの配管で詰まっていることもあります。
パイプユニッシュはキッチンシンクからグリストラップまでの配管汚れや詰まりの応急処置として使用します。
・パイプユニッシュは、本体側面に付いている目盛りの4~5目盛り分投入する。
・その間、水は流さないようにしましょう(洗剤で油脂を分解している為)
・水を流して詰まりが解消しているかどうかを確認して問題なければバスケットをセットし蓋を戻します。
グリースクリーンはグリストラップ用の油吸着シートです。
・グリースクリーンは水面の油脂を吸着するシートです。水は吸わないので沈みません。
・その間、水は流さないようにしましょう(シートで油脂を吸着している為)
・油脂が吸着したグリースクリーンを取り出します。
・水を流してみて排水状況を確認します。
※どの方法でも改善が見られない場合や悪化するような場合は早めに水道業者に依頼しましょう。
グリストラップの清掃方法や清掃する上でのポイントと詰まりの予防方法をご紹介いたします。
まず清掃をする上で必要な道具を見て行きましょう。
それでは手順を解説して行きます。
・作業前に窓を開けたり換気扇を回す等の換気をしっかりと行うことを忘れないようにしましょう。
・蓋裏にも油汚れが付いている場合がありますので蓋裏を確認して油汚れが付着していたらブラシで取り除きましょう。
・ゴミ受けカゴのゴミはビニール袋に入れて生ゴミと一緒に処理しましょう。
・水面に浮いている油脂の塊りをゴミ取り網で取ってゴミ袋に入れます。
※油脂の塊りは産業廃棄物であるので生ゴミと一緒に出すことは出来ません。
生ゴミと混ぜないように気を付けましょう。
・ゴミ取り網で底に溜まった汚れをすくってゴミ袋に入れます。
※この汚れも油・脂の塊り同様に産業廃棄物になりますので④と一緒のゴミ袋に入れましょう。
・グリストラップの出口に付いている下向きのトラップ管(90度下を向いている管)を取り外します。滑って外しにくい場合は雑巾などで掴んで取り外しましょう。トラップ管に油汚れが付着していたらブラシで取り除きましょう。
※グリストラップのタイプによってはトラップ管の無い物もあります。
・内壁の水面付近にも油脂の塊りが付着しやすいのでブラシで取り除きましょう。
・ブラッシング後にバケツかホースの水で内壁を流します。
・⑦の掃除を行うと水面に油脂の塊りが出てきます。再度④の掃除を実施しましょう。
※油脂の塊りは強い悪臭が発生します。
油脂の塊りを入れたゴミ袋は中の空気を抜いて上部を縛っておきましょう。
・取り外している物は全て取り付けます。
・掃除をした後はグリストラップ内の水が濁っていると思います。水がある程度透明になるまで流し続けましょう。
※油・脂の塊りは産業廃棄物であるので生ゴミと一緒に出すことは出来ませんのでご注意ください。
※グリストラップの清掃を定期的に行うことが詰まりの最も効果的な予防になります。
※基本的にグリストラップの清掃で水を抜く必要はありませんが詰まりが酷くて水を抜かなければ作業できない時に水抜きを行う場合があり専門業者によるバキュームで水抜きを行なう事になるでしょう。
・清掃頻度は店の環境によって変わりますが最低限の目安としては1ヶ月に1回程度です。
・清掃方法は上で紹介した通りですが出来るなら毎日ゴミや油・脂を取り除くとトラブルが起こる可能性が減るでしょう。
・給湯器がある場合は設定温度を50~60℃に変えて流し続けます。
・油汚れは熱に弱いので熱いお湯を流し続けると徐々に溶けてきます。
・規模にもよりますが流す時間は5分間位で実施の目安としては週に1回行ないましょう。
店舗によって排水量や調理などで出る油脂の量、グリストラップの大きさ等の様々な違いがありますので自分の店舗に適した予防法の実施タイミングをぜひ見つけ出していただきたいと思います。
グリストラップが詰まってしまった時に「応急処置を試したけど解消しなかった」「応急処置が出来なかった」などの場合は修理業者に依頼をすることになると思います。
ここでは水道業者選びで間違えない為のポイントと修理の業者の料金目安について見て行きたいと思います。
修理業者を選ぶ時のポイントはいくつかあります。
良い業者を選ぶために以下のポイントを確実に抑えておくようにしましょう。
修理業者を探す場合はホームページ・マグネット広告・チラシ広告・雑誌等いろいろあると思いますがホームページが圧倒的にオススメです。
理由は情報量の多さで他の媒体に比べて何十倍も情報量があります。
ここで言う実績とは作業件数と作業実績のことです。
過去にグリストラップ詰まりの対応を幾度となくしてる業者は経験が豊富なので安心感がありますね。
業者によっては呼んで来てもらったのに「高圧洗浄機を持っていない」と断られたりする場合もあるそうです。
口コミを見ると体験者の談話が出ています。
口コミは情報の出どころが不明な為に数件だけで判断するのは危険ですがある程度まとまった数の口コミや評判を見ればその業者がどんな業者なのか全体像が見える場合もあります。
水道業者をグリストラップが詰まってから探すのではなくちょっと流れが悪い段階から探しておくことが大事です。
詰まりが発生してから探すのでは時間がかかりますし焦ってしまい業者選びが出来ない可能性が高いです。
今回ご紹介したポイントを参考に事前に2~3社選んでおき連絡先を控えておくと実際に依頼する時に焦らなくて良いでしょう。
水道業者に依頼をした場合は費用が掛かってしまいますよね。
どんな作業を行なうのかによっても変わってきますがだいたいのケースで使うのはトーラー機と高圧洗浄機でしょうか。
トーラー機は金属のワイヤーで先端が汚れを砕くようになっています。
高圧洗浄機は先端から逆噴射して排水管内を進んでいって汚れを落とす事が出来るようになっています。
作業内容 | 概算の料金相場 |
---|---|
電動トーラーのみ使用 | 15,000円~35,000円 |
高圧洗浄のみ使用 | 20,000円~50,000円 |
トーラーと高圧洗浄両方使用 | 35,000円~85,000円 |
作業距離によって料金は変動します。1mの作業に付き〇〇円という料金形態の業者が多いようです。
グリストラップ詰まりの場合は基本的にトーラーと高圧洗浄の両方を使用する事が多いですが詰まりの状況によってはトーラーのみや高圧洗浄のみで改善することもあります。
目安を見ても分かるように飲食店のグリストラップ詰まりの改善作業は料金が高めに感じる方も多いかと思いますが店舗のグリストラップ詰まりはつまり除去作業の中でもヘビーな詰まりの一つだからです。
一般の家庭に比べて油脂の排水量が多くつまりの改善にも時間が掛かったりする事が多いです。
グリストラップの詰まりは緊急事態なのであまり悠長に待っていられないとは思いますが業者の見積もりがあまりにも高額な場合は相見積もりをとることも大切です。
グリストラップは厨房の排水を油脂成分やゴミと水に分離させる装置です。
グリストラップが詰まりは油汚れや食材カス・ゴミが詰まりの素になりますが詰まる要因は定期的に清掃が出来ていないことが考えられます。
グリストラップは油汚れやゴミを取り除く場所であるので溜まった物を取り除かないとそれが流れていき詰まりになってしまうのです。
水道業者の修理料金目安でも解説しましたがグリストラップ詰まりはヘビーな詰まりであるのでどうしても改善する料金が高めになる傾向があります。
そして大事なのは詰まった時にどう対応するかよりも詰まりが起きないように定期的な清掃や50~60℃のお湯を使った予防法をぜひ実践して対策を行なってみて下さい。
また厨房シンクやグリストラップの排水時に何か異常を感じたら早めに専門業者に相談しましょう。