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飲食店で働かれている方でちゃんと掃除しているのに排水管のつまりが起きたという経験がある方も多いのではないでしょうか?
今回は飲食店の排水管清掃や排水管つまりについてつまる原因やつまりの仕組みから自分で出来る予防方法や改善方法と水道業者に頼んだ場合の費用相場に至るまで飲食店の排水管つまりに関するあらゆることを徹底解説して行きます。
飲食店を経営されている方や飲食店で働かれている方は特に必見ですね。
目次
飲食店の排水管つまりは何故起こるのか?
油詰まりとは何なのか?
店舗と一般の家庭では何が違うのか等々のつまりの原因や仕組みからつまりやすい配管構造とつまりやすい理由まで詳しく解説して行きます。
通常なら排水溝から排水管に油・脂が流れるのはキッチンでしか起きませんよね?
調理してる時や食器を洗う時に出る油・脂の混ざった排水が流れて行きます。
この油・脂の混ざった排水が徐々に排水管内にへばり付いていきます。
この油汚れの排水が時間をかけて排水管内で固形物化し一部でも排水管内を埋め尽くしてしまうと水が流れなくなり「つまり」という症状が起こるのです。
飲食店の排水管つまりと一般家庭の排水管つまりの違いは「食材・油の量」と「排水の量」です。
例えば一般の家庭を4人家族、飲食店をラーメン店とした場合で比較してみます。
・人数単位での一般家庭と飲食店の違いとは?
1日の調理回数 | 1日の調理数 | |
---|---|---|
一般家庭(4人家族の場合) | 3回(朝・昼・夕) | 12人分 |
ラーメン店 | 100回(来客数) | 100人分 |
例えばこの対象比較表の場合は一般家庭と比べてラーメン店の方が約8倍近く調理数も多いわけです。
調理人数が約8倍多いということは食材や油の排水量も約8倍多くなり詰まる量も約8倍多くなるのです。
もちろんこれは一例であり店によっては5倍の店もあれば15倍の店もあったり飲食店によって油・脂の量も変わります。
ここで説明したいのは一般家庭と飲食店で詰まる原因や仕組みに違いはありませんが一般家庭よりも飲食店の方が食材カスや油・脂の排水量の方が圧倒的に多いので排水管に付着する量も多いということです。
つまりやすさと詰まりにくさを判断する上で配管の設置状況は大切なポイントになります。
それでは詰まりやすい排水管とつまりにくい排水管の特徴を見て行きましょう。
つまりやすい配管 | つまりにくい配管 | |
---|---|---|
特徴1 | 排水管の曲り角が多い | 排水管の曲がり角が少ない |
特徴2 | 排水管の距離が長い | 排水管の距離が短い |
特徴3 | 排水管の勾配が取れていない | 排水管の勾配が取れている |
特徴4 | 排水管が古い | 排水管が新しい |
特徴5 | 排水管の口径が狭い | 排水管の口径が広い |
このような特徴がありますが大きな配管工事をしない限り配管の設置状況は変わりません。
なので店舗の配管がつまりやすい配管なのかつまりにくい配管なのかをしっかりと把握しておくことが大事です。
自分の店舗と照らし合わせてつまりやすい配管特徴の内の2つ以上が当てはまる場合はつまりやすい配管と判断できます。
つまりやすい配管だとしたら掃除の頻度や予防法を多く実践することによって詰まりの危険を遠ざけることが出来ます。
飲食店と一口に言っても様々な業態がありますよね。
飲食店の中でも詰まりやすいお店はどのような業態なのか詰まりやすいとよく言われている業態を3つご紹介します。
中華料理店は油を多く使用するので詰まりやすいでしょう。
ラーメン店の中でも「豚骨ラーメン」をメインにしているお店は豚の脂が大量に出るので詰まりやすいです。
特に動物性の脂なので詰まった場合は強固な詰まりになるだけでなく強い臭いを発生させます。
焼肉店は油・脂を多く使っていて洗い物の時に調理油・動物性脂の両方が流れます。
もちろん上記の業態以外のお店でも調理中の油や脂のある食材を多く調理される店舗は詰まりが発生しやすかったりお店の規模や排水設備の状況によっても変わってきます。
飲食店の厨房に良く設置されているグリストラップ。
特に一般の方は聞いたことが無いかもしれませんがグリストラップとは何のためにあってどのような物なのか?
またどのような種類があるのか等のグリストラップの疑問について詳しく解説いたします。
グリストラップは英語表記にすると「Grease Trap(グリーストラップ)」です。
Greaseは「油」でTrapは「罠、閉じ込める」という翻訳になり直訳すると「油を閉じ込める」という意味になります。
グリストラップはフィルターのような物で生ゴミや残飯、油・脂の混ざった排水の汚れ成分がグリストラップより先の排水管に流れないようにします。
汚れを取り除いた排水を排水管に流して行く事により排水管つまりを起きにくくしたり公共の下水道に生ゴミや残飯が極力流れないようにするためのものでもあります。
グリストラップは排水の汚れを取り除く為の装置ですが定期的に掃除しないと全く意味を成さない物になります。
グリストラップ内に汚れを溜めても掃除しないとフィルターの許容量を超えてしまうので汚れた水が素通りして行きます。
なのでグリストラップのある店舗はグリストラップ内の清掃を定期的に行うことが必須となります。
それではグリストラップの中の仕組みを見て行きましょう。
種類によって多少の違いはありますがここでは基本的な3槽式のグリストラップを例に解説して行きます。
役 割 | 補 足 | |
---|---|---|
第1槽 | 生ゴミや残飯などをバスケットで受け止めて取り除きます。細かいゴミは下に沈殿させます。 | 汚れた排水が最初に通る所で固形物の除去。 |
第2槽 | 汚い水が分離されて油脂が表面に溜まります。水は下を通って行きます。 | 中間点で主に油・脂を分離させます。 |
第3槽 | 更に水と油脂を分離させて油脂成分の少ない水を排水管に流して行きます。 | 最後の油・脂の分離させる箇所でここから排水管に流れて行く。 |
3段階で汚れを取り除いて行きます。簡単に言うとろ過のような仕組みですね。
グリストラップは大きく分けると3つのタイプに分けられます。
タイプ | 特徴 |
---|---|
屋内埋設型グリストラップ | 厨房の床下に埋め込まれている。 飲食店に一番多く設置されているタイプ。 厨房内の全ての排水が集合する場所。 |
屋内床置型グリストラップ | 厨房シンク下に設置されている事が多い(床上) |
屋外埋設型グリストラップ | 屋外地面下に埋め込まれている。 |
ちなみに、グリストラップは基本的に直方体です。
・タイプ毎のメリットとデメリット
タイプ | メリット | デメリット |
---|---|---|
屋内埋設型 グリストラップ |
・床下にあるので調理の邪魔にならない ・比較的に浅いので掃除がしやすい |
・グリストラップから悪臭が発生すると店内に臭う場合がある ・グリストラップの上蓋は鉄製の物が多く滑りやすい。またガタガタする場合もある |
屋内床置型 グリストラップ |
・後付けが出来る(今まで飲食店では無かった場所を飲食店にする時など) ・設置費用が安い |
・調理の邪魔になったり調理器具を置くスペースが狭くなる ・小さいので量が多くなると排水を処理できない ・小さいので頻繁に掃除しないといけない |
屋外埋設型 グリストラップ |
・屋外にあるので調理の邪魔にならない ・大きいので大量の排水を処理出来る ・グリストラップから悪臭が発生しても店内には臭わない |
・大きい為に掃除が大変 ・屋外に大きなスペースが無いと設置できない ・大きい分詰まると大変 |
グレーチングとは側溝(排水溝)の上にある蓋で格子状の物です。素材は金属製の物が多いようです。
グレーチングは厨房内に良く設置されています。
床の掃除で水を撒いても水が溜まることなく側溝からグリストラップや排水管に流す為の物でありグレーチングがあることにより側溝に足を引っ掛けなくて済むという点もあります。
厨房が広い場合はシンクも複数ありグリストラップとシンクが遠いこともあるので各シンクから近くの側溝に排水するという構造になっています。
ここで詰まる可能性があるのはシンクから側溝までの排水管です。
この排水管は口径も小さくグリストラップよりも手前側にあるので油詰まりが起きやすいです。
ただしシンクから側溝までは距離が短いので詰まっている場所も特定しやすく改善作業も比較的に簡単なケースが多いでしょう。
飲食店の排水詰まりは大きく分けて3つの場所で考えられます。
それはグリストラップ内の詰まり、厨房排水溝詰まり、床下排水管(グリストラップの先)つまりの3つです。
それでは皆さんでもできそうな場所ごとのつまり解消方法をご紹介します。
※洗剤を使用した詰まり解消方法(スーパーグリスカット)
・バスケットを取り出してゴミを取り除きます。またグリストラップ内に固形物化した油・脂や沈殿してる食材カス等も取り除きます。
取り除いたゴミや固形物化した油・脂はゴミ袋に入れて廃棄するようにしましょう。
決して排水管に流すということはしないでください(排水管詰まりのリスクが高まります)
・汲み出した水は取って置き作業が終ったらグリストラップに戻します。
※いくら分離させてるとは言え油を含んでるので他の排水溝に流すと油が付着してしまいます。
・スーパーグリスカットはバケツで10倍に薄めた物を使います。
・待ってる間は水を流さないようにしましょう(洗剤で油・脂を分解している為)
・水を流して詰まりが解消しているかどうかを確認します。
詰まりが解消していればホースなどでグリストラップを良く洗い流して完了です。
※ワイヤー工具を使用した詰まり解消方法(パイプクリーナー)
・グレーチングを取り外すとは排水溝の側面に排水の穴があるので詰まっている場所を確認します。
Ⓐパイプクリーナーの固定ネジを緩めワイヤーを引き出して先端を側面排水口に入れます(シンク側からやる場合もあります)
Ⓑ詰まり箇所に到達したら固定ネジを締めてハンドルを回します
Ⓒ2~3分間回したら一度ワイヤーを引き抜きます。先端に油脂の塊りが付いている場合はバケツの中に水を入れてワイヤーの先端を洗い油・脂の汚れを取り除きましょう
・Ⓐ、Ⓑ、Ⓒの工程を数回行います。
・シンクから水を流して詰まりが解消しているかどうかを確認します。
詰まりが解消していればグレーチングを取り付けます。
※使用後のワイヤーは良く洗いましょう。
特にワイヤーにこびり付いた油脂はそのままにしておくと強い臭いが発生します。
またワイヤーの劣化も早めますので先端だけでなくワイヤーの部分もしっかりと洗う様にしましょう。
こちらも②で使ったワイヤー工具を使用します。
基本的な作業方法は「厨房排水溝詰まり解消方法」で説明した通りですが床下排水管ならではの注意点がいくつかありますので解説いたします。
もし油・脂で滑って外しにくい場合は捨てても良い雑巾などで掴んで取り外しましょう。
無理に押し込むとワイヤーが排水管内でとぐろを巻いて絡まる事があるので注意しましょう。
グリストラップが汚れたまま行なうと食材カスや油・脂が床下排水管に流れていってしまい詰まりが悪化する可能性もあります。
※①、②、③の方法を試しても詰まりが解消しない場合は無理な作業を行なわず水道業者に依頼しましょう。
一番重要なことは「詰まりが発生した時にどう解消するか」ではなく「如何にして詰まりを発生させないか」です。
営業している最中に詰まりが発生してしまうとちゃんとサービスの提供ができなくなってしまったり、症状が酷い場合は営業を中止しなければいけなくなったりします。
こうならない為にも詰まらない状況を作る効果的な予防方法をご紹介いたします。
業態によっても店によっても排水の内容や量に差があるので一概には言えませんが最低でも1ヶ月に1回は清掃しましょう。
ただし大事なのは自分の店に合ったタイミングで清掃すること必要ですので客席数やグリストラップのサイズによって1~2週間に1度行なう事も検討しましょう。
1ヶ月に一回行ってみてその時にゴミが結構溜まっているならタイミングとして遅いでしょう。
この場合は1ヶ月に2回以上にしましょう。
逆に1ヶ月に1回の掃除でほとんどゴミが溜まらなければ2ヶ月に1回にしてみても良いかもしれません。
清掃タイミングの目安は「汚れが軽く溜まっている程度」が丁度良いです。
汚れが少ない状態であれば清掃時間も少なく済みます。
ポイントは「汚れが溜まってから清掃をする」のではなく「グリストラップに汚れを極力溜めない」ということです。
本来であれば閉め作業の一環として毎日グリストラップの清掃を行なうのがグリストラップつまりや床下排水管つまりのリスクを大きく下げる一番の方法でしょう。
「スーパーグリスカット」を使用します。
使用方法は「グリストラップ詰まり解消方法」で説明したのと同じで詰まりの改善だけでなく詰まりの予防にも効果的です。
他にも「グリスとれ~る」という洗剤も予防に効果的で排水溝やグレーチングの掃除にも効果的でしょう。
熱めのお湯を流すという予防方法は一番簡単な予防方法でしょう。
それだけ?と思われる方も居ると思いますので詳しく解説して行きます。
まず固形物化した油汚れは熱に弱いという特徴があります。
お湯に触れると溶けだして冷えると固まります。
ここでご紹介する予防方法は熱めのお湯を流す訳ですがいくつかポイントがあります。
飲食店の厨房では調理で大量のお湯を沸騰させてるので60℃と聞くと「低いのでは?」と思う方もいるかも知れませんね。
しかし排水管に使用されている塩ビ管の耐熱温度が60℃でして熱すぎるお湯を流し続けると塩ビ管を変形させてしまう危険性があります。
お湯を流している最中にシンクにタオルなど栓をしてお湯を溜めてある程度溜まったら一気に流すということを時々行いましょう。
一定量だけで流してるだけだと排水管内の特定の場所しかお湯が通らず、その通り道以外の油汚れはなかなか取れません。
水量に変化を付けることにより広範囲の油汚れをゆるめたり溶かすことが出来ます。
お湯を流す方法は一般のご家庭の台所でも有効ですので試してみて下さい。
飲食店の排水管つまりや排水溝つまりを水道業者に依頼した場合はどの位の費用がかかるのでしょうか?
水道業者が排水管や排水溝の詰まり改善に使用する機器が「電動トーラー機」と「高圧洗浄機」でしょう。
電動トーラーは電動式でワイヤーを配管内に入れて汚れを砕く機器です。
パイプクリーナーの凄いバージョンと思っていただければイメージしやすいと思います。
高圧洗浄はホースを配管内に入れて直接汚れに高い圧力の水を噴射して洗浄する機器です。
水道業者にとってどちらも飲食店の配管つまり改善には欠かせません。
それでは飲食店の排水管つまりを水道業者に直してもらう場合の費用相場を見て行きましょう。
飲食店での詰まり除去作業 | 水道業者の費用相場 |
---|---|
電動トーラー作業 | 15,000円~35,000円 |
高圧洗浄作業 | 20,000円~50,000円 |
※費用幅が大きいのは電動トーラー作業も高圧洗浄作業も作業距離だったり詰まりの状況によって金額が大きく変わってくるからです。
基本的な作業料金にプラスして1mにつき作業料金が2,000円~3,000円という水道業者が多く、また一般家庭に比べて簡単には直らないような詰まりのケースが多くて費用が高くなってしまう事が多いのではないでしょうか。
一般家庭と飲食店では排水管の大きさや流れる油・脂の量が全然違いますね。
そのため飲食店で油汚れによる詰まりが発生した場合は油汚れの量も多く水道業者による改善作業は金額が高くなりがちです。
詰まった時に自分で対処することも大切ですが詰まらせない為の予防を定期的に行うことが最も大切です。
ぜひ自分のお店に合った予防方法を見つけてみてください。
もし流れが悪くなってご自身でも解消が難しい場合は完全つまりが起こる前に水道業者にご依頼ください。